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昭和HD、経営不振脱却へ明日香食品の株式取得

2011年6月3日 (金)

フード昭和ホールディングスは2日、明日香食品と明日香食品工業2社の株式の実質49%を取得すると発表した。同日、A.P.F.グループとの間で株式譲渡契約を締結した。

 

昭和HDでは、主力の工業用ゴム製造業が、市場低迷や自社の事情などにより長期の業績不振となっており、「現状の事業規模から勘案すると、上場維持費用を含め、本部コストが過大」との認識がある。

 

このため、「経営状態の良い会社をM&Aで取得することで事業を拡大し、過剰となっている本部コストを吸収」する狙いから、今回の株式取得に至った。

 

昭和HDグループは、イソプレンゴム製の授乳用乳首の製造・卸売で国内トップクラスの実績があり、明日香食品はわらび餅の製造で国内2位の出荷高を誇る老舗の和生菓子製造販売会社。現在では大手GMSを主要顧客として、和生菓子だけでなく中華惣菜の製造・販売も行い、安定的な収益を確保している。また、一昨年からはタイに営業所と工場を構え、ASEANを中心としたアジア地域を次の重点的市場に位置づけている。

 

M&Aの対象が明日香食品と明日香食品工業となったのは、2009年6月から10年10月まで昭和HDの社外取締役であった四元衆氏が、明日香食品の社長を務めていた経緯があり、製造部門の管理職が明日香食品を訪問し、大手GMSにも認められる衛生管理や高度な機密性をもった生産設備の見学やその管理手法のレクチャーを受けるなど、明日香食品グループと同社の交流がスタートしていたという。

 

その後、これらの交流活動を継続するとともに、10年6月には同社の庄司友彦財務・総務担当執行役が明日香食品の財務担当取締役に就任し、さらに同年8月には此下竜矢CEOも明日香食品の代表取締役に就任、同年11月には井手景介副社長が明日香食品の社長に就任するなど、明日香食品グループの状況把握に努めてきた。

 

自社顧客に対して、新製品として明日香食品グループの商品を提案し、合同で人事研修などの交流も行うなどの取り組みも行っている。

 

これらの背景から、昭和HDは明日香食品、明日香食品工業を関連会社化することで、自社の経営改善につながると判断し、2社株式を保有しているA.P.F.グループに株式取得の打診を行い、1年半にわたる交渉の末、株式譲渡契約の締結に至った。

 

今回の株式取得は、「リスクの軽減の為段階的に資金投入している」ことから、取得後もA.P.F.グループが明日香食品グループの株式の51%を所有する。取得価額は5億2135万円。