国際世界貿易機関(WTO)は28日、日本が設置を要請していた韓国による日本産水産物の輸入規制に関する小委員会(パネル)の設置を決めた。
韓国は2011年3月の福島第一原子力発電所の事故を受け、福島県など8県から50種の水産物の輸入禁止規制を実施、13年にはさらに輸入規制を強化しており、日本政府はWTO協定との整合性を問題としてパネル設置を求めていた。
韓国政府は当初、8県50種の輸入規制を実施し、13年9月に福島第一原発の汚染水問題を受けて8県からの全水産物に規制を拡大。すべての日本産食品でセシウムかヨウ素の放射性物質が少量でも検出された場合、ストロンチウム、プルトニウムなどほかの核種についても放射性物質検査結果証明書の提出の義務付けることとした。
こうした韓国の反応に対し、日本政府はことし5月にWTO協定に基づく日韓二国間協議を要請。6月24、25日にジュネーブで二国間協議を開催し、8月20日になってWTO事務局にパネル設置要請書を提出したが、8月31日に行われたWTO紛争解決機関(DSB)定例会合で、非申立国の韓国が反対したため設置が見送られた。日本政府は直ちに2回目の設置申請を行い、今回のDSB会合で「パネルを設置しないことがコンセンサスにより決定されなかった」ことから設置された。
WTOの紛争解決制度では、「加盟国による協定非整合的な措置によって不利益を被った」とする加盟国は当事国間の協議で紛争が解決されない場合、一定の期間を経た上でパネルに紛争を付託し、問題とされる措置と協定との整合性判断を求めることができる。パネルによる判断に不服のある当事国は、最終審に相当する上級委員会に対して上訴することが認められている。