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TDB調べ、中小の輸出企業、3割が直近決算で赤字

2011年8月15日 (月)

話題帝国データバンクは15日、急激な円高の影響が懸念される輸出企業の実態調査結果を発表した。

 

東京外国為替市場の円相場は11日に一時1ドル76円30銭付近まで上昇し、東日本大震災直後につけた戦後最高値(76円25銭)に迫った。震災や原発事故、今回の急激な円高ドル安を受け企業の海外シフトが一層進めば、中小下請けを中心に輸出企業のダメージが大きいことから、7月末時点の企業概要データベース「COSMOS2」(139万社収録)などをもとに、直接、間接を含めた輸出入状況を業種別、年商規模別、地域別に集計したもの。

 

調査結果によると、国内の「輸出企業」は3万3083社で、業種別では「製造業」と「卸売業」で全体の約9割を占める。両業種ともに「一般機械」「電気機械」「輸送用機械(自動車含む)」関連が上位を占めた。年商規模別では、「10億円未満」の中小企業が1万9494社で全体の約6割。このうち業績判明企業の28.6%、3211社が直近決算で最終赤字を計上するなど、厳しい業況続いている。

 

また、国内の「輸入企業」は7万1402社で、業種別では「卸売業」がほぼ半数を占め、「製造業」が続いた。年商規模別では「10億円未満」の中小企業が4万9078社で全体の約7割。業績判明企業のうち、全体の2割超が直近決算で最終赤字となっていることが分かった。

 

「円高関連倒産」は14日時点で29社判明し、集計開始の2008年以降で最多となった前年の同日時点の27社を上回るペースで発生している。

 

現在の円高基調を受け、大手企業が海外生産や現地調達の動きをさらに強めていけば、輸出関連を中心とする多くの国内下請製造業者にとっては受注減少に直結する、と指摘。

 

8月に判明した円高関連倒産3社のうち2社が東日本大震災による影響も受けているなど、震災や過去の円高局面で疲弊した中小企業は多く「最近の急激な円高が数か月後に最後の引き金となりかねない」とした。

 

今後は、今回の調査で判明した3万3000社に及ぶ輸出企業の中でも「体力的な余力に乏しいため大手企業の海外シフトに十分な対応が難しい中小企業1万9500社を中心に、関連倒産が相次ぐおそれもある」との予測を示した。