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ウェザーニューズ、「北極海航路」運航支援へ衛星打上げ

2011年9月16日 (金)

話題ウェザーニューズは15日、海氷が減少する北極海に実現しつつある新たな航路「北極海航路」を運航する船舶の安全性を支援するため、アクセルスペース社(東京都千代田区)とともに、海氷をモニタリングする独自の超小型衛星を来年9月、ロシアのヤースヌイ宇宙基地から打ち上げると発表した。

 

北極海の海氷は、地球温暖化の進行に伴い減少し続けており、近年は夏季の一部は商用船の航海が可能な状態になっている。今夏は史上最速ペースで海氷が減少し、ロシア側の航路(北東航路)は、これまでの開通より1か月程度早く航路が開通した。

 

欧州-アジア間の輸送の場合、北極海航路の航海距離は、現在のスエズ運河経由の3分の2、喜望峰経由の半分となり、航海距離、燃料費、環境負荷が大幅に軽減し、海運業界など世界の物流に大きな影響を与えると言われている。

 

一方で、北極海での国際的な輸送に関する合意、環境問題、航海の安全性など課題もある。同社では、この海域の海氷のモニタリング、予測を行い、2006年にプロジェクトチームをつくり、北極海航路の実現に向けた活動を続けている。

 

ウェザーニューズでは8月下旬から、北極海航路を航海している三光汽船所有のSANKOオデッセイに対して安全運航の支援を行っている。既存の衛星から得られる海氷の状況や潮流、風、波の予測をもとに、海氷の動きを予測し、安全な航路情報を提供している。また、実際の船舶から現地の情報を受信し、双方向で支援情報の質の向上を図るなど、本格的な北極海航路支援に向けた準備を進めている。

 

北極海海氷の状況把握には、アメリカなどの衛星を利用しているが、船舶の安全性を確保するという目的に合わせ、高頻度で海氷をモニタリングするために、独自衛星の開発を2008年から本格化した。WNI衛星は、多機能、大規模な衛星開発とは一線を画し、海氷をモニタリングすることに目的を絞っている。

 

現在は、環境試験を経て、実機製造に取り組んでいる。極軌道衛星であるWNI衛星は、1日に地球を15周回し、小型カメラで北極海域の海氷を撮影して、地上に送信する。受信した情報を同社グローバルアイスセンターが解析し、北極海航路情報として船舶、海運会社運航管理部門に提供する。

 

WNI衛星の打ち上げは、大型衛星に付帯させて打ち上げるピギーバック方式で行う。今回はドニエプルロケットで、ロシアとカザフスタンの国境付近のヤースヌイ宇宙基地から、2012年9月28日に打ち上げる予定。