産業・一般三菱重工業は20日、陸上輸送用冷凍ユニット(陸上レフユニット)で、温度設定の異なる2室の温度調節をすべてヒートポンプ運転で可能にした新モデルを開発したと発表した。
ヒートポンプは、冷やしたい空間から暖めたい空間に効率よく熱を移せるため、コンプレッサーで発生する熱を加温に利用する従来型に比べ、加温能力が2倍超に向上。最高効率時の冷凍機燃費は75%減と大幅な省エネ・CO2排出抑制を実現する。管理温度帯が異なる食品を1台で配送するトラック向けを中心に、2012年4月から販売を開始する。
新モデル「TDJS35HP」シリーズは、トラックのメインエンジンで駆動。同社独自の高効率な3Dスクロールコンプレッサーの採用に加え、庫内に設置される2台の熱交換ユニットの冷媒が流れる方向を、冷却運転と加熱運転で逆転させる独自の冷暖フリー回路を業界で初めて実用化。すべての運転条件でヒートポンプによる大能力かつ高効率な運転を実現した。
これにより、外気温がマイナス10度から40度の範囲で前室を冷蔵の5度、後室を米飯の管理温度帯である20度に維持できる。定格暖房能力は5.7kW。
主にコンビニエンスストア向けの配送トラックに採用されていた従来の2室型(ホットガスバイパス式)「TDJ301DM」シリーズ(定格暖房能力2.5kW)に比べ、消費エネルギーは35%削減しながら、加温能力は130%増加するため、効率は3.5倍(冷凍機燃費70%減)を実現。
さらに、従来型では前室を冷却し後室を加温する場合、いずれかを停止させながら交互運転する必要があったのに対し、新モデルは冷却側から加温側に熱を移す最も効率的な同時運転ができる。この結果、消費エネルギーは25%削減しながら、冷却能力は70%増、加温能力は380%増となるため、効率は4.3倍(冷凍機燃費75%減)、CO2削減率は75%に達する。
物流業界では配送効率向上によるコスト低減を狙いに、1台の配送車で異温度帯の冷蔵・冷凍管理を低コストに行える陸上レフユニットに対するニーズが高まっている。新モデルでは、例えば2室に要冷蔵食品と弁当・おにぎり類を分けて搭載する場合、夏場と冬場は2室とも冷却または加温、春秋は冷却・加温の同時運転を実現。季節の外気温変化に応じた最高効率の運転により、物流業界のニーズに対応する。
同社は、新型陸上レフユニットを、国内総販売元の菱重コールドチェーン(東京都千代田区)とともに、27日-29日に東京ビッグサイトで開催される「2011東京トラックショー」に出展し、商談を開始する。