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2016年3月期決算

海運大手3社、ドライバルク船市況低迷で業績悪化

2016年4月28日 (木)

ロジスティクス日本郵船、商船三井、川崎汽船の邦船3社は28日、揃って前3月期決算を発表した。中国経済の減速を背景にドライバルク船需要が減退し、コンテナ船も荷動きの低下から運賃が低迷したことを受け、商船三井が1704億円、川崎汽船が515億円のともに最終赤字となったほか、日本郵船も減益幅が6割を超えた。

コンテナ船は新造大型船の竣工・投入が相次ぎ、アジア発欧州・南米向けを中心に船腹需給とのギャップが拡大。ドライバルク船は、中国の鉄鉱石輸入の伸びが鈍り、石炭輸入が減少するなど中国経済の減速が市況に大きな影響を与え、過去最低水準で推移した。

■日本郵船、定期船事業が経常赤字化

日本郵船
2016年3月期本決算
累計(百万円)
(前年同期比)
対売上高利益率
直近3か月(百万円)
(前年同期比)
売上高
2,272,315-5.4%505,620-18.3%
営業利益
48,964-26.0%2.2%1,798-92.9%
経常利益
60,058-28.5%2.6%4,039-82.0%
当期純利益
18,238-61.7%0.8%-4,584--

こうした事業環境のなか、日本郵船はコンテナ船の航路再編、ドライバルカーを中心とした不採算船の処分・返船に取り組み、「運賃安定型事業」からの利益の積上げに努めたが、定期船事業で3億円の経常赤字を計上したほか、不定期専用船事業の経常利益も134億円減の465億円と伸び悩んだ。他方、航空運送事業や物流事業などの「非海運」事業は堅調に推移した。

■商船三井、構造改革費用1792億円計上

商船三井
2016年3月期本決算
累計(百万円)
(前年同期比)
対売上高利益率
直近3か月(百万円)
(前年同期比)
売上高
1,712,222-5.8%395,088-16.3%
営業利益
2,323-86.5%0.1%-7,263--
経常利益
36,267-29.3%2.1%-2,525--
当期純利益
-170,447-----183,741--

商船三井は、コンテナ船事業の売上が8.6%減の7211億円となり、部門経常損失は前期の241億円から298億円へと赤字幅が拡大。不定期専用船事業は2.2%の減収となったものの、部門経常損益は1.4%増の543億円の利益を確保した。これらにより、全体の経常損益は29.3%減の362億円となった。

こうした事業環境の変化を受け、同社は2014年春にスタートした中期経営計画の15年度の利益計画が達成できなくなったとして、16年度は1792億円にのぼる構造改革費用を1-3月期に計上、最終損益は1704億円へと膨らむこととなった。ドライバルク船事業では中小型バルカーに関するビジネスモデルの抜本的な見直しとケープサイズバルカーの船隊規模縮小を、コンテナ船事業は事業資産の減損を決めた。

これらにより、今期は売上高1兆5160億円、営業利益30億円、経常利益200億円、最終利益200億円を見込む。

■川崎汽船、最終赤字化で中期数値目標引き下げ

川崎汽船
2016年3月期本決算
累計(百万円)
(前年同期比)
対売上高利益率
直近3か月(百万円)
(前年同期比)
売上高
1,243,932-8.0%266,149-21.1%
営業利益
9,427-80.4%0.8%-5,765--
経常利益
3,338-93.2%0.3%-8,391--
当期純利益
-51,499-----60,774--

川崎汽船はコンテナ船事業が100億円の経常赤字(前期は206億円の黒字)に転落したほか、不定期専用船事業は32.5%減益の247億円の利益と伸び悩み、海洋資源開発・重量物船事業も損失が拡大した。

こうした事態を受け、同社は決算発表と同時に2020年3月期を最終年度とする中期経営計画の目標数値引き下げを表明。20年3月期の業績目標は当初の1兆5000億円から3000億円少ない1兆2000億円、経常利益450億円(当初目標比400億円減)、最終利益330億円(270億円減)とした。

期中の3社の平均消費燃料油価格(1メトリックトン当たり)は、日本郵船が298.66米ドル(前期比46.4%安)、商船三井が265ドル(47.3%安)、川崎汽船が295ドル(45.5%安)。対ドル平均為替レートは、日本郵船が120円78銭(前期比10.6%円安)、商船三井が120円62銭(11.3%円安)、川崎汽船が120円78銭(10.6%円安)。