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【年頭所感】公的武装ガードの乗船切望[船主協会]

2012年1月4日 (水)

話題日本船主協会の芦田昭充会長による年頭所感(要旨)は次の通り。

 

■「武装ガードの乗船切望」
昨年の税制改正要望で、わが国外航海運の悲願であったトン数標準税制の拡充が認められ、2013年度から適用されることになったことは、明るい話題だった。昨年、日本船主協会の会長に就任した際、活動の最重要課題を「海運界のTPP」として発表した。その中で、トン数標準税制の拡充はまさにトップバッターにあたる。これが実現したことはまことに喜ばしい限りで、これによって、わが国外航海運の国際競争条件が諸外国に一歩近づくことが期待される。前提となる海上運送法の改正などが円滑に進むよう、取り組んでいく。

 

翻って「海運界のTPP」の2番目の課題、ソマリア沖・アデン湾の海賊問題は、残念ながら昨年は対策に大きな進展は見られなかった。もとよりわが国をはじめ各国には懸命な護衛活動を実施しており、昨年7月にはジブチに自衛隊初の海外拠点が開設され、より効果的な活動が期待されているが、海賊事件発生海域は護衛が及ばない海域にまで広がり、発生件数も増加しており、非常に危惧すべき状況が続いている。

 

海運業界としては、自衛のためのあらゆる対策を講じているが、その対応には自ずと限界がある。特に、武器の持ち込みを禁止されている日本籍船は公的武装ガードの乗船を政府に検討してもらっており、今年は是非これが実現するよう切望する。

 

水先制度改革も最重要課題の一つだ。戦後日本海運が幾多の試練にもまれながら変化し、これを取り巻く制度も変わってきた中で、水先制度だけが大きく変わっていないのは奇異とすら言える。ことし4月から適用されることとなる水先料金の上限認可額の改定の機をとらえて、改革に向けた協議を進めていく。これに加え、外航海運での温室効果ガス(GHG)削減、日本人海技者(船員)の確保・育成、IFRS(国際会計基準)への対応もしっかりとフォローアップしてくべき課題であり、以上に話してきたような諸課題に取り組むため、引き続き広報活動にも力を注いでいく。

 

わが国の産業基礎物資の約8割を輸送し、先の大震災では救援物資の輸送で重要な役割を果たした内航海運は、かねてより船腹の過剰、船員の不足と言った問題や、カボタージュ制度の堅持などの課題がある。当協会は、日本内航海運組合総連合会と協調して、これらの問題に対処していく。