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【年頭所感】トン数標準税制拡充へ足掛かり[船主協会]

2011年1月4日 (火)

話題「海運業界にとって、昨年もいくつかの大きなできごとがあった。その一つが、国土交通省に設置された成長戦略会議で、わが国海運・海事産業の国際競争力強化に向け真摯な検討をいただいたことだ。この会議の下に設置された検討会には、私自身も委員として参画し、各国との税制の差が競争力の差に直結しているということを説明した。他の委員の皆さんにも、国際的な競争条件の均衡化を図ることの重要性を十分認識していただき、最終的に取りまとめられた新成長戦略には、トン数標準税制を諸外国並みに拡充することや、船舶の特別償却制度、買換特例の維持・拡大などが提言された。

 

これを受けて、国土交通省の2011年度税制改正要望にも、『トン数標準税制の拡充』や『船舶の特別償却制度・特定資産(船舶)の買換特例(圧縮記帳)の拡充』などを盛り込んでいただいた。残念ながら、『トン数標準税制の拡充』については認められなかったが、2012年度以降の検討課題としていただいたことは、まさに、足掛かりができたということ。今年は、昨年以上に関係者の理解を得るよう努力していきたい。

 

二つ目は、船舶の安全運航にかかわるソマリア沖・アデン湾の海賊問題だ。わが国をはじめ、20数カ国から派遣された艦船により、商船の護衛活動などが行われているが、海賊事件は鎮静化するどころか、ソマリア沖では11月に37件の事件が発生するなどますます増加する傾向にある。また、当協会加盟船社の運航する船舶が海賊にハイジャックされる事件も発生している。海賊問題は海運業界だけの問題ではありません。アデン湾やインド洋水域は、欧州や中東とわが国を結ぶ重要な航路にあたり、わが国の産業活動や国民生活に大きな影響がある。この海域の船舶の航行安全の確保は、今年も大きな課題になるだろう」(日本船主協会、宮原耕治会長