ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

物流効率高め新ハード「NX」の出荷円滑化に備え

任天堂、出荷ベースで6割占めるゲーム卸2社買収

2016年8月25日 (木)

荷主任天堂は、出荷額ベースで同社製品の6割を取り扱うゲーム卸2社を買収する。現在の物流体制を引き締めてコスト削減につなげるとともに、効率的な供給網を整備することにより、来春発売する新たなゲーム機「NX」の出荷に備える。

全国4か所に物流拠点を展開するジェスネット(札幌市白石区)の株式70%を46億8000万円で来年4月3日に取得するとともに、ジェスネットがアジオカ(愛知県西尾市)のビデオゲーム卸事業を15億円で譲り受ける。

対象2社の売上高はジェスネットが570億円(2015年7月期)、アジオカが387億円(16年6月期)で、ともに事業の大半を任天堂関連の卸事業が占める。

両社を経由する任天堂製品の出荷割合は合わせて6割に上るが、最近数年間は任天堂の業績低下の影響で両社の売上も減少傾向にあり、ジェスネットは2期前と比べて売上高が27%、経常利益が35%それぞれ悪化。アジオカも1期前との比較で売上高が7%減少、経常利益が44%減少している。

任天堂は国内サプライチェーンをグループ化して自社のコントロール下に置くことで供給体制を強化し、重複する物流拠点を集約して業務効率を高める。

ゲーム市場の主力がスマートフォンアプリへ移行するなか、同社はハードとしてのゲーム機の需要が中長期的に低迷していくとの見方には否定的だ。

今回の買収についてもLOCISTICS TODAYの取材に対し「外部に委託している物流機能をグループ内に取り込むことで機動性を高めながら、重複機能・拠点を集約するなどして効率の向上を図るだけでなく、来春発売する新たなゲーム機『NX』の出荷に備える狙いもある」と説明。物流需要の縮小を前提とせず、新ハードを円滑に出荷するための基盤整備の一環であることを強調した。