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日本郵政、豪トール社で数千億円規模の減損検討か

2017年4月20日 (木)

ロジスティクス日本郵政が2015年に6100億円で買収した豪州トール社の数千億円に上る減損処理を検討していると一部で伝えられたことについて、日本郵政は20日、「トール社の業績が計画に達していないことから、減損の要否を含め、現在、検討中」とのコメントを発表した。

一般的に、企業買収に際しては買収額と純資産の差額を「のれん代」として計上し、最長20年かけて償却することになっており、トール社の場合も買収額6100億円と買収時の純資産の差額である4744億円を当初ののれんとして計上、20年かけて償却していくことにしていた。16年3月期末時点ののれんは4111億円だったが、17年3月期は公表済みの第3四半期までに159億円を計上し、4000億円をやや下回る水準で、残り19年間で償却する計画だった。

のれん代は、いわば形のあるもの(純資産)とその企業を買収した際の差額であり、その企業の「ブランド価値」と理解できるものだが、当のトール社は資源価格の下落に伴う豪州経済の悪化が影響し、第3四半期ベースで14年(4-12月)におよそ300億円あった営業利益(EBIT)が15年(同)に166億円、16年には66億円と収益性が大きく低下。これほどの下落ペースを辿る財務状況下で、20年間でおよそ4000億円を償却していくには収益力が足りず、のれんの減損処理(=ブランド価値の見直し)を迫られても不思議ではない状況だ。

日本郵政は5月15日に17年3月期決算を発表するが、減損処理の規模によっては日本郵便の事業戦略が大きな影響を受ける可能性も出てきた。