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「物流の平準化と運賃支払サイト短縮」訴求

米Uber、トラック輸送版アプリの提供スタート

2017年5月19日 (金)
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話題スマートフォンアプリを活用したタクシー配車サービスを展開する米国Uber Technologies(ウーバー・テクノロジーズ)は18日(日本時間19日)、このサービスのトラック貨物輸送版となる「Uber Freight」(ウーバーフレイト)の提供を開始した、と発表した。

タクシー配車版と同様、Uber FreightもiOSやAndroid OSを搭載したスマートフォンやタブレットなどのアプリを通じ、運びたい荷物と運送会社やトラックドライバーをマッチングする仕組みで、アプリ上で予約ボタンにタッチすると数秒以内に運賃レートが表示され、実際に予約する場合には手続きを先に進めていくことになる。

運送会社やトラックドライバーが荷主として利用することもできるため、同社はUber Freightによって「トラックドライバーの負荷を平準化する効果」がもたらされると説明する。

米国のトラックドライバーが報酬(運賃)を受け取るには30日以上かかるのが一般的だが、このサービスを利用することにより、ドライバーは「数日以内」に受け取ることができる。荷待ち時間が発生するなどの「予期せぬ場合」に対しても、追加料金が明示されている。

以上が、Uberが貨物輸送分野に同社がかかわっていくことを目指し、数年かけて取り組んできたサービスの概要となる。わかりやすさとシンプルできれいなデザイン、使い勝手はタクシー配車サービスと同様に素晴らしいできあがりとなっているが、機能面では、ほかのスタートアップ企業が提供する技術やサービスに比べ、それほど高度なものではないように見える。

事実、Uberがサービス開始をアピールする動画やウェブサイトでも「Simple booking, faster pay」(シンプルな予約と素早い支払い)をキャッチフレーズとしていることからも、同社の訴求ポイントが「高機能」でなく使い勝手の良さと、長い支払サイトを短縮する点に置かれていることがわかる。

運送会社に所属せず個人事業主として活動するドライバーが多いという「米国特有の事情」を改善するには役立つだろう。日本では軽貨物が同じような事業環境となっているが、“原則的”にすべてのドライバーが運送会社に所属し、個人では「荷物を獲得する」という機能を持たない日本の一般的なトラックドライバーにとって、現状ではそのまま導入するのは難しい。短く表現するならば「顧客向けサービス」というよりも「ドライバー向け」だといえよう。

とはいえ同サービスはまだ開始されたばかりであり、タクシー配車も当初は国内規制に適合せず、「そのままでは使えない」との指摘も大半を占めていたが、実際には比較的早く順応して国内で営業している。ここからどんな展開を見せて米国以外にサービスを拡大していくのか、Uberの新たな挑戦が注目される。