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拠点集約へM&Aによる規模拡大も検討

東電物流、25年までに売上2.4倍増の改革策打ち出す

2017年9月27日 (水)

ロジスティクス東京電力の物流子会社、東電物流(東京都品川区)は27日、ことし6月に就任した朝岡正裕社長が記者会見し、今後の事業戦略について説明した。主に海外の資材メーカーとの取り引きを広げ、東電の工事を請け負う会社向けの販売事業に注力、海外資材メーカーの物流獲得と併せ、2025年までに売上高を現在の2.4倍に相当する170億円へ拡大する改革プロジェクトを10月1日から立ち上げると発表した。

 

同社は1977年7月に東京電材輸送の社名で発足し、「電柱」の輸送業務でスタート。その後、99年に東京電力から資材倉庫管理業務を全面受託し、東電物流に社名を変更して業容拡大に舵を切る。2000年には通関業許可を取得し事業の幅を広げながら、ことし40周年を迎えた。現在の輸送品目は配電資機材で、電線を中心に、特別管理産業廃棄物(ポリ塩化ビフェニル、PCB)の輸送も手がける。東京電力グループの東京電力パワーグリッドが同社株式の80%を保有する親会社となっている。

6月に東京電力ホールディングスの渉外・広報ユニット広報室コミュニケーション計画グループマネージャーから東電物流の社長に転じた朝岡社長は、現在71億円の売上を25年に170億円へと拡大するための「東電物流改革プロジェクト」を策定し、10月1日から始動させると発表。現在は朝岡氏自ら、社員との対話を行っており、来年1月までかけてウェブサイトと経営理念を全面的に刷新、18年3月には安全理念を制定してコーポレートガバナンスの骨格を組み直す。

▲現在の売り上げ構成

同社の事業は運輸、倉庫、販売・レンタルの3事業に分かれ、運輸業は主に電柱、配電用資機材、スマートメーター、PCBの輸配送を、倉庫業は配電用資機材倉庫の入出庫・在庫管理、購入計画の作成、メーカーとの調達調整を、販売・レンタル業は配電工事会社への材料販売、電線メーカー向け電線用プラスチックドラムレンタルなどをそれぞれ展開。売上構成は運輸35%、倉庫37%、販売・レンタル28%となっているが、今後は特に販売・レンタル事業に注力して19年に100億円、25年に170億円、最終的には200億円以上を売り上げ、国内物流業界で上位50位以内を目指す。

売上拡大に向けた取り組みとしては、電線を輸送する際の木製ドラムを同社がレンタルするプラスチックに置き換える事業のほか、配電工事材料の工事会社向け物流の共同化、小型ファンが付いた「空調服」の販売、独自のコンサルティングノウハウを生かした海外資機材メーカーとの取引拡大などを想定。特に配電工事材料の工事会社向け物流は、複数のメーカーと複数の工事会社がそれぞれ行っている物流を東電物流に集約し、工事会社向けの輸送部分に既存輸送便を充てて積み合わせによって効率を高める。

また、老朽化が進む7か所の物流拠点の集約・再編についても検討しているが、当面はPCBを保管する拠点として運用せざるを得ない事情もあることから、PCB保管のみを切り離す形で既存拠点とは別の拠点づくりも視野に入れる。候補エリアは圏央道沿線など。そのためには現在以上の一定の事業規模も必要になってくるため、協力運送会社のM&Aも検討する。

■東電物流・朝岡正裕社長の主な会見質疑
――倉庫増設、集約を進めるということだが、設備投資計画は。

▲東電物流朝岡正裕社長

朝岡正裕氏:倉庫は老朽化が進んでいるので、圏央道を含め、事業環境の変化に従って保管業務の集中化を図る。所有か賃貸かはこれから検討する。売上目標と進捗状況を見据えて取り組む。また、人員も増やしていかなければならない。特にリユース事業で東電本体からの転籍者を毎年数十人程度、定期的に増やしていかなければならない。ドライバー不足への対応も重要だ。

――経営戦略を発表したいきさつは。

朝岡氏:本当は就任後1か月以内にやりたかったが、工事会社などへのあいさつ回りで遅れた。40周年という記念すべき年でもあり、会社の将来像を説明したいと思った。自身は広報畑が長く、常々経営トップが直接、対外的に経営戦略を語るべきだと考えていた。

――7つの資材センターを運営しているが、集約化を進める上でAIやロボット化についてはどう考えているか。

朝岡氏:他社と比べて何歩も遅れている。いままでよりは進歩するが、いきなりロボットとは行かないだろう。

――売上拡大の内訳は。

朝岡氏:現在は倉庫と運輸で50億円、販売・リユースで20億円。2019年の100億円は、販売・リユース事業の上積みで達成する。具体的には、工事会社が使う材料を当社がいったん購入して再販する取り組みになるだろう。