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マースクとIBM、国際貿易をブロックチェーン化

2018年1月17日 (水)

話題A.P.モラーマースクとIBMは17日、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を利用した国際貿易を行うため、合弁会社を設立すると発表した。

合弁会社を中核としてオープンなプラットフォームを構築し、国際貿易プロセスをデジタル化することで、「新しい形式の指図や承認」を情報フローに導入。多数の貿易パートナーが、詳細情報やプライバシー、機密性を損なうことなく、トランザクションを共有する単一画面を協力して確立できるようになる。

具体的には、まず出荷情報パイプラインとペーパレス取引の2つの機能を開発する。出荷情報パイプラインはエンド・ツー・エンドのサプライ・チェーンを可視化し、サプライ・チェーンの管理に関与するすべての関係者が出荷イベント情報を円滑で高いセキュリティ環境の下でリアルタイムに交換できるようにする。

ペーパレス取引は、エンド・ユーザーが組織の壁を越えて文書の送信、確認、承認を安全に行えるようにし、書類のファイリングをデジタル化・自動化する。これにより、最終的に認可や荷動きに関する時間やコストを減らすことができる。必要となるすべての承認が確実に行われるようにし、承認の加速を促してミスを減らす。

合弁会社のソリューションは、規制当局の認可が下りてから6か月以内に提供を開始する方針で、本社はニューヨークのメトロポリタン・エリアに置く。

マースクとIBMはブロックチェーン技術を利用するとともに、人工知能(AI)、IoT、アナリティクスを含むクラウド・ベースの公開技術を利用。IBMのサービスを通じて提供し、企業が国境を越えて商品を輸送する際にデジタルで追跡できるようにする。

IBMはこれらの取り組みにより、製造業者、海運会社、貨物運送業者、港湾ターミナル事業者、税関当局、最終的には消費者が「新しいテクノロジーの恩恵を全面的に受けることができる」と説明している。

合弁会社の取締役会会長にはマースクのチーフ・コマーシャル・オフィサーを務めるビンセント・クラーク氏が就任する予定で、同氏は「この新しい企業の設立により、国際貿易のデジタル化を推進するという私たちの戦略的な取り組みは、重要な段階に到達する。情報を安全かつ容易に交換する手段のために、中立的でオープンなデジタル・プラットフォームを提供することで、可能性は大きく拡がり、サプライ・チェーンの参加者すべてが恩恵を得るだろう」と話す。

両社が新しいブロックチェーンとクラウド・ベースのテクノロジーを構築するため、2016年6月にコラボレーションを開始して以降、デュポン、ダウ・ケミカル、テトラパック、ヒューストン港、オランダの関税庁、米国の税関国境警備局などの複数の組織がこのプラットフォームを試験的に導入している。

また、米ゼネラル・モーターズやP&G、物流企業のアジリティロジスティクス社などが関心を示しているほか、シンガポール税関、ペルー税関などがプラットフォームとのコラボレーションを検討するという。