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ヤマト、和歌山電鉄貴志川線で宅急便輸送

2018年2月5日 (月)

▲オリジナルステッカーを貼付した集配コンテナ

話題ヤマト運輸は5日、和歌山電鉄貴志川線の田中口駅-神前(こうざき)駅間で、ローカル電車による宅急便の輸送を開始すると発表した。沿線の過疎化や利用者の高齢化で路線網の維持が課題となっていた鉄道を宅急便の輸送手段として活用することで、ローカル路線の維持と宅配効率の向上を図る。

貴志川線の田中口駅-神前駅間の電車で「客貨混載」を開始するもので、物流総合効率化法(物効法)の改正後、宅配便の個別配送の一部を担うのは国内初。

和歌山電鉄は、ネコを助けるために駅長とした「たま駅長」で知られるローカル電車。「乗って楽しい電車」を目指した車両の改装やイベントに積極的で、「鉄道自らが観光資源」となって観光客の誘致を行うなど、路線の維持や地域活性化に取り組んでいる。

これまでヤマト運輸が宅急便センターから神前地域にトラックで輸送、配達していた宅急便を貴志川線を利用して輸送し、リヤカー付き電動自転車で配達する。

具体的には、ヤマト運輸の社員2人が、和歌山太田センターで荷物を集配コンテナに積み込み田中口駅へ向かい、集配コンテナを電車に固定。社員も電車に乗り込み7時15分に出発、神前駅到着後は神前地域に向かい、集配コンテナと自転車をドッキングし、リヤカー付き電動自転車で集配する。

▲運用フロー図(出所:ヤマト運輸)

これにより、貴志川線の路線網が維持されることから、地域住民は通学や通院などの生活基盤を維持できることになる。神前地区では配達開始時刻が3時間早まる。和歌山電鉄は、電車の空きスペースで宅急便を輸送することにより、電車の路線網維持につながる新たな収入源を確保。

ヤマト運輸は住宅が密集する神前地区で、リヤカー付き電動自転車を利用することによって安全性と集配効率を高める。配達開始時間がこれまでの11時から8時に繰り上がるため、サービス品質の向上と再配達削減による労働環境の改善も見込む。

今後は貴志川線の各駅にオープン型ロッカー「PUDOステーション」を設置したり、手荷物預かり、手荷物配送サービスを提供したりといった地域の利便性向上に取り組むとともに、県産品の販路拡大に向けた活用も検討する。