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国交省、交通需要推計改善へ中間とりまとめ

2010年8月19日 (木)

行政・団体政策・事業評価の前提となる将来交通需要推計で予測と実績値のかい離を指摘されていた問題で、国土交通省は19日、将来交通需要推計検討会議で検証した課題と改善策の検討状況を中間とりまとめとして公表。現行モデルと改善モデルを比較した場合、港湾の2020年度推計値では、年4億トンもの差が生じることが分かった。

 

将来交通需要推計は事業評価の前提となっていることから、社会資本整備の二重投資を防ぎ、料金政策などの影響の事前把握を適正に行うため、馬淵澄夫国土交通副大臣を座長とした検討会議を設置し、課題の抽出と改善策の検討を行っている。

 

改善スケジュールは2段階で実施し、第1段階では既存推計モデルの改善にとどめて来年度予算要求に反映し、第2段階で推計モデルを統合、平成24年度予算要求に反映する。中間とりまとめでは推計モデルの統合の方向性を提示し、12月に推計モデルを構築して最終とりまとめとして公表、23年8月末まで統合モデルによる交通需要推計を実施する。

 

将来交通需要推計は国内旅客と国内貨物の2分野で算出しているが、国内貨物ではこれまで、道路と港湾で別々の推計手法を採用していた。

 

第1段階では、生成交通量推計モデルを改め、このうち国内貨物は、推計時の貨物の品目分けを10品目で統一するなどの改善を行う。2020年度と2030年度を対象に、両分野で推計年度を統一するとともに、推計年度での交通インフラ・サービス指標の設定方法も統一する。

 

国交省が改善前と改善後の生成交通量推計を試算したところ、道路で使用する全機関輸送量(総流動ベース)は、2020年度推計で現行モデルが57億500万トンとなったのに対し、改善モデルによる生成交通量推計値は55億7800万トンとなり、現行モデルがやや多めに出ていることが分かった。2030年度推計になると値は逆転し、現行モデルが54億100万トンに下がる予測となるのに対し、改善モデルでは57億2200万トンに増加する結果となった。

 

港湾の推計はさらにかい離が大きく、2020年度推計は現行モデルの35億2300万トンに対し、改善モデルは31億3700万トンと、4億トン近い差が生じた。

 

第2段階で、国内貨物(道路、港湾)は貨物の機関分担の状況を検討し、機関分担が固定的な貨物については、各分野の手法により推計を行う。交通機関のサービス指標により機関分担が容易に変化する貨物については、生成交通量、地域別発生交通量、分布交通量(OD交通量)、分担交通量までのプロセスを統合。

 

フェリー貨物は、道路の配分モデルに組み込んで経路を推計し、その結果を港湾別の取扱貨物量に反映する。また、内航海運(コンテナ・RORO)は、端末輸送を道路の需要推計に反映する方法を検討する。