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ピッキング作業38%短縮確認

日立、複数AIでアームと台車を統合制御する技術

2018年5月28日 (月)

話題日立製作所は28日、ロボットアームと搬送台車を統合制御し、ピッキング作業を効率化する「複数AI協調制御技術」を開発したと発表した。搬送台車を停止させることなくピッキング作業を行うことで、作業時間を38%短縮した。

日立が開発した技術は、ピッキング用ロボットと自律走行する搬送台車を統合制御し、搬送台車に積まれた商品群の中から指定の商品をスムーズに取り出し、ピッキング作業を効率化するもので、カメラ画像から取り出す商品とその最適なピッキング方法を判断するAIの下に、「ピッキング用ロボットを制御するAI」と「搬送台車を制御するAI」をリアルタイムに統合管理し、協調制御する。

▲ピッキング用ロボットによって搬送台車に積まれた商品を取り出す際の技術比較(以下画像の出所:日立製作所)

この技術により、商品の荷積み状態に基づき搬送台車とロボットアームは最適な速度で互いに衝突することなく近づき、搬送台車の移動を止めることなくスムーズに商品をピッキングすることができるという。

搬送台車を都度停止させてからピッキングを行う従来技術と、今回開発した技術の比較実験を行った結果、ピッキング作業の所要時間を38%短縮できることを確認。今後は、この技術を搭載した倉庫作業ロボットシステムの製品化を目指す。搬送台車の動きに合わせてロボットアームの動作を計画し、微修正する機能は、英国エディンバラ大学と共同で開発した。

ピッキング作業を支援するために商品を棚・ケースごと運ぶ搬送台車は既に実用化され、現在はケースから商品を取り出すピッキング用ロボットと搬送台車を組み合わせたシステムの開発が進められている。

しかし、ケース内の商品の荷積み状態は、搬送やピッキング作業に伴い崩れて複雑になるため、搬送台車の移動速度も考慮した上で、瞬時に取り出す商品や取り出し方法を判断してロボットを制御するのは困難で、ピッキング作業を行う前に搬送台車を静止させる必要があった。また搬送台車の停止時間がロスとなり、効率的なシステムを構築するのは難しかった。

日立の社内実験では、秒速0.5メートルで走行する搬送台車を停止させることなく、商品のピッキングに成功。搬送台車を停止させてからロボットが商品を取り出す従来の方法では、13秒だった作業時間が8秒と、38%の高速化が確認された。

▲複数AI協調制御技術のリアルタイム処理イメージ