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トラック荷室内を常時監視・解析し、積荷とマッチング

国がトラックの“次世代見える化”着手、内閣府主導

2018年8月3日 (金)

話題3Dセンシング技術によってトラックの荷室内の情報を正確に把握し、積載情報や空き情報と積み荷をマッチングする。レーザーや画像解析技術を用いて積荷の損傷情報も取得し、荷主は早期に代替品を発注――。

こんなトラックの“次世代見える化”ともいえる仕組みが、内閣府主導の開発・事業化プログラムとして、10月にも立ち上がる見通しとなった。

大手物流企業では、テレマティクス技術によってトラックや船の位置情報、空き情報を取得したり、これらの情報を使って管理したりといった取り組みが進んでいるものの、「他社と情報共有がされていない」ことから、社会全体で輸送効率を高めていくため、国主導で先進的な仕組みの構築に乗り出す。

現在、トラックが「あとどれだけの積荷を積載できるか」や積荷の損傷状況を確かめる手段としては「目視程度」の情報しか取得できていないことから、「自動的に正確な情報を取得する技術」を開発する。具体的には3Dセンシングで積載情報を取得する技術を開発し、さまざまな制約条件を満たした上で積載情報と積荷をマッチングできるようにする。

(出所:内閣府)

これによって「トラック1台の単位よりも詳細な単位」で空き状況の情報を取得し、荷物の損傷状況もレーザーや画像解析技術を用いて素早く判別する技術を開発、不要な輸送の削減や代替品の早期発注に対応できるようにする。

運行中のトラックでは、到着地ごとに荷下ろしが発生することから、発時点の積載情報は随時、変化していくが、運行中車両の積載情報をリアルタイム化することで、積載情報の鮮度を高め、マッチング技術と組み合わせて途中積み込みにも対応、車両の積載状態を最大化する。

これらの仕組みを実現するにあたっては、積載状況をリアルタイムに取得する技術や荷物の損傷度合いを判別する技術の確立が重要となるが、プロジェクトでは想定される技術候補を洗い出し、重点的に研究する技術を特定した上で技術開発を進める。

続いて開発した要素技術を連携させ、各社の積荷状況を可視化する仕組みを開発。その後、実証実験で実際の物流を対象に、開発したシステムを用いて車両の積荷状況を可視化ができるかどうかを確かめ、機能の充足度、性能、業務効果などを検証する。

2018年度の終わりまでに、輸送手段を共有化するための要素技術を洗い出し、主要技術を調査。19年度以降の計画を精緻化する。19年度は年度末までにトラックの動態情報の共通化のための規格化を検討、必要な要素技術とトラックの積載率計測の要素技術を開発。コンテナダメージチェックの検査基準の標準化、システム構築の要素技術開発も同時に進める。

20年度は、動態情報を収集するシステム、積載率計測のシステム、貨物情報と車両情報を連携するシステム、コンテナダメージチェックシステムの機器を試作。21年度の終わりまでにこれらの実証実験を行い、業務への適用可能性を見きわめる。22年度の終わりまでに、開発した技術を連携する試作システムを構築し、輸送手段共有化の実証実験を進めていく。

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