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清水建設、病院物流動線計画支援システムを開発

2018年8月9日 (木)

サービス・商品清水建設は8日、病院内の物流動線をわかりやすく示す病院物流動線計画支援システムを開発したと発表した。今後、システムを活用して設計提案を行うほか、病院の物流動線を評価・計画するコンサルティング業務を展開する。

システムのサービス名は「サプライくん」で、パラメーターを変更しながら部屋の配置などのシミュレーションを繰り返すことで、より合理的な動線計画を提案する。

病院内では、医薬品や医療材料、リネン、食事など搬送物品が多岐にわたり、物品管理者や薬剤師・看護師などの多くのスタッフが異なる時間帯に搬送しているが、無駄が生じることも多く、院内物流の合理化が病院経営上の課題の一つとなっている。

一方、院内物流を左右する動線の合理性の評価は病院経営者や設計者にも容易ではなく、物流を想定しながら進める病院の新築、増改築などの設計では、動線計画の評価が難しいため、発注者、設計者など関係者の合意形成にさらに時間がかかる要因となっていた。

清水建設が開発したサプライくんは、こうした課題を解決する一策として実用化するもので、物品カテゴリー別に品目、関連諸室、搬送の時間帯や頻度などをデータベース化し、標準的な院内物流方式をモデルとして初期設定。条件設定などの複雑な入力作業をなくし、システム適用時には初めに病床数や各階の平面図などの基本情報を入力、物流に関係する諸室や通路・ELVをシステムに認識させるアイコンを図面上に配置することで、一連の入力作業が完了するようにした。

▲各物品の搬送経路を色分けして自動表示

シミュレーション結果は、平面図上への物品別の最短の搬送経路の表示、物品別の搬送距離のグラフ表示、搬送状況の3Dアニメーション表示という3通りの形式で、基本情報の入力から2時間から3時間程度でアウトプット。搬送時間帯の想定や関係諸室などのパラメータの変更は、初期設定しているモデルの設定値を変更するだけで行える。

病院経営者、職員、設計者などの関係者は、ビジュアル表示されたアウトプットを見ながら協議することが可能で、動線計画案の合意形成が容易になるほか、コンサルティング業務を行う場合は既存病院の基本情報を入力してシミュレーションすることで、運用面の課題抽出や改善計画の提案を素早く行えるようになる。

同社は今後、サプライくんの3Dアニメーション上での自動解析やCAD、BIMとの連動を目指す。また、コンサルティング業務を積極展開し、設計施工案件の受注に結びつけていく考え。コンサルティング業務の費用は病院の規模などの条件によって異なるが、200床規模の病院で100万円程度を見込む。