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五島産業汽船が自己破産申請準備、負債20億円超か

2018年10月4日 (木)

M&A帝国データバンクによると、五島産業汽船(長崎市元船町)が4日までに事後処理を石橋龍太郎弁護士(万才町)に一任、自己破産申請の準備に入ったことがわかった。

同社は1989年4月に創業した旅客海運業者。90年5月に(有限会社)五島産業汽船として法人改組し、99年10月に株式会社へ組織変更した。上五島町を拠点として、高速船による鯛ノ浦-長崎航路のほか、高速船・フェリーによる有川-佐世保航路に就航。98年に建造した海中展望船による遊覧船事業のほか、レンタカー事業、貨物自動車運送なども行っていた。

さらに、廃止された高速船航路を引き継ぐ形で2000年10月に高松-小豆島-神戸・大阪(天保山)を結ぶ定期航路の運航を開始。01年3月には新船を追加投入し、航路をユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)にも延長するなどで業容を拡大し、03年4月期は年売上高14億円を計上した。

しかし、高松-USJ航路は高速バスとの競合などで苦戦を強いられていたうえ、船舶トラブルの頻発から、減便、USJへの寄港廃止、高松-小豆島間の運休を経て、06年に撤退。また、地元・上五島の航路に関しても、人口減少や景気低迷の煽りを受けて利用客が減少傾向となるなか、燃料費の高騰も重なり、船舶建造・取得にともなう有利子負債が経営を圧迫、大幅な債務超過に陥っていた。

10年には鯛ノ浦-長崎航路に就航する「びっぐあーす」を新上五島町へ売却し、船舶の指定管理者として運航を担う形態に変更するほか、13年6月には有川-小値賀-宇久平航路に就航(その後、グループ会社に移管)するなどでテコ入れを図ったものの、16年4月に発生した熊本地震の影響で観光客が減少し、売上高は伸び悩んでいた。17年5月に佐世保-福江航路、同年7月に長崎-天草・﨑津漁港航路の定期船運航にも乗り出したが、決済難に陥り、10月1日より各航路の運航を停止していた。

負債は現在精査中だが、20億円を超える可能性があるという。