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日本郵船、燃料油硫黄分を船上分析可能に

2018年10月17日 (水)

▲開発した船上簡易硫黄分析計「SLFA-60」

ロジスティクス日本郵船は17日、同社と同社グループの日本油化工業(横浜市中区)が、堀場製作所に依頼し、陸上分析機関で使用されている硫黄分析計を改良して船上で燃料油の硫黄分を測定できる専用機を開発した、と発表した。この分析計を運航船に導入し、船舶から排出される硫黄酸化物(SOx)濃度の規制対応の徹底、低硫黄燃料油の最適使用に取り組む。

欧州、北米などの周辺海域には大気汚染防止を目的としたエミッション・コントロール・エリア(ECA)が設定されており、当該海域を航行する船舶に対しては硫黄分0.1%未満の燃料を使用することが義務付けられている。

そのために機関士は、各タンク・配管内の硫黄分濃度が確実に0.1%以下となるまでの所要時間を算出し、ECA入域前の適切なタイミングで燃料油の切り替え作業を行う。しかし、船上で使用燃料の硫黄分を実測できれば、法令順守に関して確実に対応できる上、切り替えるタイミングも最適化できるという多くの機関士から寄せられた要望のもと、陸上分析機関で使用されている硫黄分析計を改良し、船上で使用可能な簡易な硫黄分析計を開発した。

専用機はC重油から軽油まで幅広い種類の燃料の硫黄分計測が可能で、埃などが混ざることを防ぐためサンプルの専用容器を使い捨て方式とし、陸上分析機関と同様の高い精度を保ちつつ持ち運びが容易な形状にすることで船上での使用を可能にした。

これにより、ECA入域前に燃料油中の硫黄分濃度が確実に0.1%以下となっていることを船上で実測できるほか、従来は理論値にすぎなかった燃料供給ライン内の硫黄分濃度が0.1%以下となるまでの所要時間を実算することができるようになった。

この分析計を活用することで、SOx規制順守を強化するほか、今後、さまざまな船型の計測データを蓄積し、分析することで、燃料切り替えタイミングの最適化と切り替えにかかる燃料消費量の削減を目指す。

▲(写真左)低硫黄のマリンガスオイル(右)重油