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日本郵船など5社、SCR脱硝装置を石炭運搬船に試験搭載

2011年6月21日 (火)

ロジスティクス日本郵船、大島造船所(長崎県西海市)、三菱重工業、赤阪鉄工所(東京都千代田区)、堺化学工業(大阪府堺市)の5社は21日、日本郵船が運航する石炭運搬船「イニシャルソルート」に選択式触媒還元(SCR)脱硝装置を試験搭載し、実証実験を開始すると発表した。

 

海上試運転で実証実験を行った結果、IMO(国際海事機関)のNOx(窒素酸化物)3次排出規制に適応できる見通しが立ったため、今後本船に継続して搭載することで、実運航でも実証試験を行い、データを収集していく。

 

主機の過給機後に配置されるSCR脱硝装置を船舶に搭載するのは、船用低速ディーゼル機関向けとしては世界初の試み。

 

このSCR脱硝装置は、燃焼効率が良いといわれる舶用低速ディーゼル機関の特長を損なわず、NOxの排出を削減することを可能とし、NOx3次排出規制に対応するもの。これまで、SCR脱硝装置は摂氏300度以下の低温排ガス雰囲気では、燃料油中に含まれる硫黄分と還元剤のアンモニア成分の反応でできる硫酸水素アンモニウム(酸性硫安)が触媒を被毒させるため、将来的な規制に対応が困難といわれてきた。

 

しかし、陸上試験で、使用燃料油の硫黄分を0.1%程度に押さえることで、触媒の被毒を軽微にできるよう改良を加え、過給機後の摂氏250度レベルの低温排ガス雰囲気でも、実用化に向けて、安定した脱硝性能が得られたため、実船への試験搭載をすることにした。

 

大島造船所、三菱重工業、赤阪鉄工所、堺化学工業の4社は船舶の将来的な環境規制を見据えた研究・開発が重要課題と位置付けており、これに日本郵船が研究開発に協力する形で、SCR装置を石炭運搬船に試験搭載するもの。