調査・データ鹿児島県トラック協会は21日、女性トラックドライバーに関するアンケート調査の結果を公表した。対象は経営者・管理者331件と現役女性ドライバー75人で、6月20日から7月25日にかけて実施された。調査では、採用・定着の課題や職場環境の実態、女性ドライバーが感じる仕事の魅力や不満が明らかになった。
採用難と環境整備に直面する経営者の課題
経営者層からは「力仕事や長距離・深夜運行など体力的負担が大きい」「専用トイレや休憩室が不足」「大型免許保持者が少なく取得費用が高い」といった課題が多く挙がった。採用環境では「応募者減少」「若年層の定着難」「業界の魅力不足」も指摘された。
一方で、女性ドライバーの雇用効果については「人材不足の解消」(40%)、「職場の雰囲気向上」(38%)、「会社イメージの改善」(22%)と肯定的な評価もあった。男性ドライバーへの刺激や車両管理の丁寧さ、気配りなどが職場に好影響を与えているとする意見が多い。ただし、妊娠や家庭の事情による早期退職や従業員間のトラブルなども課題として挙げられている。
指導体制は「先輩の男性ドライバー」(47%)や「男性管理職」(38%)が中心で、女性の指導者は限られている。女性ドライバーを「雇用したい」と答えた企業は52%にとどまり、消極的な理由として「力仕事の多さ」「設備未整備」「応募者不足」が目立った。
現場から見たやりがいと不満点
回答した現役女性ドライバーの多くは20-50代で、乗務車両はバンや冷蔵冷凍車、ダンプ、平ボディーなどが中心だった。就業理由は「運転が好き」(41人)、「一人の時間を持てる」(20人)、「給料が高い」(18人)が多く、満足点も「やりがいを感じる」(33%)、「一人の時間を持てる」(32%)が上位を占めた。
不満点では「女性専用トイレがない」(38%)、「シャワー施設が少ない」(25%)、「休憩できる駐車スペース不足」(17%)が挙げられた。会社設備でも女性専用更衣室やシャワールームの整備を求める声が22%に上った。就労継続の条件としては「給料」(16.4%)、「人間関係の良さ」(14.8%)、「休みの取りやすさ」(14.8%)が重視され、子育てや介護への理解、性別格差の是正も重要視されている。
長時間労働と設備不足、浮き彫りになった現状
経営者回答ではドライバーが「定時に出退勤できる」とした割合は47%にとどまり、「時期による」(34%)、「できない」(13%)とする声もあり、長時間労働が常態化している。50%が「休憩室・トイレ男女兼用」と女性専用設備の整備も進んでおらず、現場と経営の双方から改善要望が強い。採用面でも応募者不足や大型免許保持者の減少が深刻で、免許取得支援や荷役省力化投資の必要性が示されている。
調査結果からは、女性ドライバーの定着には体力負担の軽減や設備整備、家庭事情に配慮した柔軟な働き方が欠かせないことが浮き彫りとなった。雇用効果を実感する企業ややりがいを感じるドライバーの存在は、業界にとって前向きな材料でもある。人手不足が深刻化する物流現場で、女性人材の活躍は不可欠。今回の調査は、業界全体で環境整備や働き方改革、免許取得支援を進める必要性を改めて突き付けている。
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