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海運3社中間、コンテナ船統合のつまづき響く

2018年10月31日 (水)

財務・人事日本郵船、商船三井、川崎汽船の国内海運大手3社は10月31日、9月中間決算を発表した。4月に3社のコンテナ船事業を統合した「オーシャンネットワークエクスプレス」(ONE)が営業を開始したものの、立ち上がり直後の混乱や運賃収入の伸び悩みなどが長引き、商船三井を除く2社が経常損益、最終損益で損失を計上した。

ONE社は、営業開始直後の混乱で積高・消席率が落ち込み、親会社3社でもコンテナ船事業の終了に伴う多額の一時費用を計上。徐々に統合効果が見られはじめたものの、巻き返しを図った7月から9月の貨物繁忙期に主力の北米航路やアジア域内航路などで影響が残り、想定を下回って推移した。

また、運賃収入の減少に加え、北米発アジア向け、欧州発アジア向けなどの復航で積高が減ったのが響き、アジアへのコンテナ回送費用が増加、収支を圧迫した。

日本郵船では、コンテナ船事業のマイナス要因のほか、子会社の日本貨物航空が「機体の健全性確認」のため航空機11機すべてを6月中旬に運休させ、一部の航空機や予備エンジンの減損損失などによる特別損失を計上。

 
累計(百万円)
前年同期比
対売上高利益率
売上高
915,670-14.0%
営業利益
-4,194--
経常利益
-9,029--
四半期純利益
-9,795--

事業別の経常損益は、コンテナ船事業を含む定期船事業が前年同期の133億円の利益から188億円の損失へと322億円悪化。航空運送事業が79億円の赤字となった。一方、不定期専用線事業はドライバルク船の収支改善努力が奏功して107億円改善し、158億円の利益を計上したほか、物流事業も20億円プラスの32億円の利益となった。

通期は売上高1兆8100億円(前期比17.1%減)、経常損益130億円の損失、最終損益60億円の損失を見込む。

商船三井はコンテナ船事業で経常赤字が拡大したものの、ドライバルク、エネルギー船事業が好調をキープ。エネルギー船事業は損益が悪化した油送船をLNG船・海洋事業がカバーした。通期は売上高1兆2000億円(前期比27.4%減)、経常利益220億円(30.1%減)、最終利益170億円(前期は473億円の損失)を見込む。

 
累計(百万円)
前年同期比
対売上高利益率
売上高
619,895-24.3%
営業利益
14,76132.4%2.4%
経常利益
10,277-40.8%1.7%
四半期純利益
5,725-56.4%0.9%

川崎汽船は、コンテナ船を含む製品物流セグメントで231億円の損失を計上したのが響き、黒字だったドライバルク、エネルギー資源部門の利益を維持できず、全社で2132億円の経常損失(前年同期は111億円の利益)を計上。最終損益も245億円の赤字となった。通期は売上高8200億円(前期比29.4%減)、経常損失280億円、最終損失200億円を見込む。

 
累計(百万円)
前年同期比
対売上高利益率
売上高
416,129-28.1%
営業利益
-12,321--
経常利益
-21,329--
四半期純利益
-24,581--