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海上輸送コンテナシェア過半数の9か国・地域で会合

2018年11月22日 (木)

▲ワークショップの様子(以下画像の出所:国土交通省)

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国際国土交通省海事局は22日、危険物やコンテナの海上運送の国際規則の理解、制度整備の促進を図るため、APECプロジェクト予算を活用し、海上輸送コンテナの取扱シェアの過半数を占める9か国・地域が参加する初の「APECワークショップ・セミナー」を主催したと発表した。

13日から15日にホテルフクラシア晴海(東京都中央区)で開き、日本、中国、韓国、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ、米国、ベトナムの9か国・地域が参加した。

セミナーでは、日本側から主に危険物の海上輸送にの国際規則の概要について日本海事検定協会、日本舶用品検定協会の講師による講義のほか、コンテナ総重量確定制度(VGM)に関する日本の取組みや危険物に関する日本の検査制度など、日本の制度・事例紹介を行った。

また、物流会社にも協力してもらい、コンテナに収納される危険物に関する検査の現地視察も実施した。

▲現地視察の様子

ワークショップでは、海上技術安全研究所の海上輸送安全分野の専門家を司会者に迎え、危険物の海上輸送に関するディスカッションを行った。参加メンバーによる自国の危険物運送の実態やその規制に関するプレゼンテーションが行われ、その内容を踏まえた活発な議論を通じ、国際規則への理解や各国の先進事例についての情報共有、荷送人の教育の重要性に対する共通認識の醸成を図った。

今回のイベントは、危険物などの海上輸送安全分野でのAPEC加盟国・地域への能力構築支援を目的としている。近年、危険物の未申告や梱包の不備に起因する海難事故が国際海上輸送で多く見られている。これら危険物に関する規制は、国際海事機関(IMO)で国際海上危険物規程として世界共通の規則が定められている。IMO加盟各国はこの国際規則を取り入れ、それに準拠した自国の規則を策定し、運用しているが、各国の運用状況や事故などの情報を共有し、事故防止を図るための機会はこれまでほとんど存在しなかったという。

また近年、日本の沿岸を運航するコンテナ船でも、危険物を収納したコンテナの事故が発生し、損害が生じているが、これら事故の原因は「主に荷送人による危険物の未申告、誤申告、梱包の不備やコンテナ重量情報などの不足にあると考えられている」としている。

コンテナ・危険物などが輸入される場合、これらの規制の実施は輸出元の国・地域に委ねられることとなるため、日本に輸入される際の事故を防止するためにも、主たる輸出元であるアジア諸国での規則の実効性を高めていくことが課題となっている。

そこで今回、国土交通省海事局では国際協力の一環として、危険物輸送に関する国際規則や各国での取り組みについての情報を共有し、今後の各国・地域での制度整備に活用して頂くことを目的として、このイベントを開催することとした。