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絶妙の待機位置、GROUNDが最新物流ロボ公開

2019年4月22日 (月)

サービス・商品ロボットを活用した倉庫運営の効率化ソリューションの開発に取り組むGROUND(グラウンド、東京都江東区)は18日、開発中のピッキング支援ロボットを公開した。今秋に予定している一般向け販売を半年後に控え、現在の開発状況をオープンにして完成度の高さを示す狙いがある。

▲開発中のピッキング支援ロボット

一般販売に向けて同社が試行錯誤を重ねてきたことを示すように、GROUNDの最新ロボットは「バージョン6.1」を数える。「名称はまだ決まっていない」(宮田啓友社長)というこのロボットは、アマゾンのピッキング支援ロボット「ドライブ」(旧キバシステム)と異なり、作業者の隣までピッキング対象の棚を運んでくるわけではなく、作業者を追従するものでもない。

「どんな仕組みなのか」を簡単に説明すると、独自の計算方法(アルゴリズム)によって動き回るGROUNDのロボットは、棚が立ち並ぶエリアで作業者による「アイテムのピックを待っている」。

アルゴリズムに従って最も効率的だと判断された棚のそばに待機し、画面にはアイテムの画像とともにピックすべき個数を表示。作業者はアイテムを棚から取り、ロボットにバーコードを読み取らせることで、作業の正誤判定が行われる。正しい作業だと判定されると、周囲の安全に配慮しながら「次の棚」まで勝手に移動していく。

肝となるのはロボットが待機する位置で、公開された作業スペースでは、作業者がロボットを探し回るようなことはなく、「すぐに見つけられる位置」に複数のロボットが散らばって待機するという動きを確認できた。配慮しなければならないのは棚間の通路スペースの幅で、一般的な90センチより30センチ広い120センチを確保し、ロボットとロボット、ロボットと作業者がすれ違うことのできるスペースが必要になる。

同社がこうした動きを採用したのは、作業者1人あたりの生産性を2倍に高めることにこだわった結果だという。

今秋の発売当初は「売り切り型」で提供し、ゆくゆくは、ニーズに合わせて導入しやすい従量課金制への移行も視野に入れる。その際のコスト感は「人間の作業者を一人雇うよりも安いレベル」を想定しているとのことで、いわば「作業者の生産性を2倍に高める物流ロボットを『時給』で雇う」という使い方も見えてくる。

今回の”お披露目”で見たロボットは、物流ロボット時代の「本命の一角」を占めそうな完成度だった。付け加えるなら、名前があればなお記事が書きやすかったかもしれない。

▲研究・開発担当の佐藤誠司さん(左)、磯部宗克部長(中央)、伊藤恵さん(右)

▲大和ハウス工業が開発した物流施設「DPL市川」(研究・開発拠点)