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農産物の海上輸出試験、24品目が「販売できる状態」

2019年10月2日 (水)

話題中部地方整備局は、農産物の海外輸出に向けて8月1日から21日に実施した海上輸送試験の結果を10月2日に公表した。

実験では、庫内温度を一定に保つ「高機能冷凍・冷蔵コンテナ」と包装内を低酸素・高二酸化炭素状態にして鮮度を保つ「MAフィルム」を用いて、清水港からシンガポール港に農産物28品目を海上輸送。荷卸し後24時間経過した農産物の品質や輸送中の庫内環境を計測・評価した。

▲輸送前後に行った品質計測・評価の様子(左から重量計測、糖度計測、外観・食感・甘味・風味の官能評価)

結果、実験を行った28品目のうち、シャインマスカット、ピオーネ、巨峰、温室メロン、プラム、梨、芽ネギ、サツマイモ、葉ネギ、冬瓜、白菜、キャベツ、ブロッコリー、大根、白ネギ、玉ネギ――の16品目が「国内集荷時と同等」の品質を保ち、桃、高糖度トマト、みつば、小松菜、レタス、枝豆の6品目は「集荷時には劣るが非常に良い品質」の評価。大玉トマトと大葉は「品質は劣るが全量販売可能」(見切り品扱い)とし、合わせて24品目が「販売に適する状態」だった。

一方で、なす、オクラ、ホウレンソウ、キュウリの4品目は低温障害または単純劣化が原因で「全量販売不可」または「一部販売不可」の評価を受けた。

▲赤枠内のデータロガーで輸送中の温湿度・衝撃を計測した(出所:中部地整)

海上輸送中の庫内環境については、温度を0.2度から0.5度の間で保ち、湿度も75%で安定させることに成功した。農産物にかかる衝撃も荷卸し時の5Gのみで航空輸送でかかる20Gと比べて「ごくわずか」だった。

今後は第2回の輸送試験を10月10日から29日にかけて、第3回を12月上旬、第4回を2月上旬に実施し、新たな品目の追加や可販率向上に向けた包装方法の工夫などを行うとともに、関係者へのヒアリングを通じて物流効率化に資する方策を検討するという。

▲農産物輸出の流れと輸送実験の概要(出所:中部地整)