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清水港から海上輸送で農産物輸出拡大、試行開始

2019年7月30日 (火)

ロジスティクス中部地方整備局は8月2日、農産物の輸出拡大に向けた取り組みとして、高規格冷蔵コンテナを用いた輸送試験を行う。海上輸送時の課題を洗い出し、海上輸送に適した季節ごとの農産品や、輸出先のニーズ、海上輸送時に必要な対策を把握できるようにし、生産から仕入れ、輸送、販売までを含めたビジネスモデルの構築を狙う。

鮮度確保が必要な野菜、果物の海外輸出は短時間で輸送が可能な航空機輸送が主流となっているが、近年、長期間にわたって鮮度を保持できる高機能冷凍・冷蔵コンテナが開発され、海上輸送が可能になりつつある。大量輸送が可能な海上輸送は、航空輸送に比べて輸送費を大幅に抑えることができるため、輸送試験を通じて課題を潰し、価格競争力の向上、日本の農産品の輸出拡大につなげる。

輸送試験はJA静岡経済連、自治体の農業部局、中部地方整備局や静岡県などの港湾部局が連携し、8月にもも、ぶどう、白菜、10月にメロンやトマト、12月にみかんや柿、来年2月にいちごやキャベツ――と、4回に分けて行い、年度末の来年3月をメドに成果をまとめる。

最初の輸送試験では、JA静岡経済連の主導で産地間が連携して生産・集荷を行い、8月1日に卸売市場で輸送実験の積み荷とする農産物を選定してピッキング作業を実施、低温倉庫に運び込んだうえで重量、糖度、酸度、硬度、色彩といった事前品質検査を行う。

翌2日には低温倉庫で高機能冷凍・冷蔵コンテナに農産物を積み込むとともに、温度・湿度・振動を確認するためのセンサーを設置。コンテナを清水港へ搬入し、6日から輸送環境を計測しながら海上輸送し、17日にシンガポール港へ入港する。輸送後は8月20日に試験場で「輸送後品質確認」として品質検査と官能評価を実施し、販売するという流れ。

静岡県が策定した「農水産物輸出促進計画(清水港)」は2018年2月、国土交通省から「農水産物輸出促進基盤整備事業」の認定を受けており、新興津コンテナターミナルに農水産物の海上輸送に必要な96口のリーファープラグを整備するなど、農産品の輸出への取り組みを積極化している。