ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

日立物流、EC共有倉庫は中小10社の入居想定

2019年12月10日 (火)

ロジスティクス日立物流は10日、埼玉県春日部市の「春日部物流センター」で、9月23日から本格稼働したEC事業者向けの物流共有施設「ECプラットフォームセンター」を公開した。

同センターは、複数のEC事業者で空間・設備・物流システム・作業員などを共有してもらい、事業者ごとの物量に応じた従量課金で使用料を徴収するもので、EC事業者に固定費がかからないのが最大の特徴。延床面積2000坪のうち、800坪を保管エリア、1200坪を自動化設備エリアとしており、自動化設備エリアでは、入庫、在庫管理、製函、ピッキング、緩衝材・チラシ・納品書の投入、封函、箱の印字、送り状の貼付、配送業者への引き渡し――までを行い、その工程の72%を自動化。少ない人員で1時間あたり870梱の出庫を実現する。

処理速度の肝となるピッキング作業には、自動搬送機「EVE」90台と専用棚430台を配備。作業員の手元に運ばれた専用棚から商品を発送箱に移す際には、誤投入を防ぐシステムが働く。また、こうした人手による作業工程は全て監視システムで映像を保存しているため、誤発送・誤投入などのトラブルがあった際には、発送箱のバーコードから作業映像を検索し、トラブルの原因を突き止めることができるほか、素早く正確な作業映像は、手本として作業員教育に役立てる。

▲左からセンター長の村上宏介氏、デジタルビジネス開発部長の中安良二氏、スマートロジスティクス推進部長の舘内直氏

現状では、入庫、ピッキング、ギフト梱包、配送業者別の仕分け作業の一部で人手を要しているが、同社の舘内直スマートロジスティクス推進部長は、「自動化設備の導入は、投資対効果で考えている。現状では、全てを自動化することが必ずしも物流コスト削減につながるわけではない」と話した。

同社は、ECの市場規模が拡大を続ける中、EC事業者の出足を挫く固定費負担を取り払うことで、1日100件から1000件程度のEC事業者の物流を取り込みたい考えで、品種を問わず10社程度の入居を想定。複数事業者が入居することで繁閑波動を平準化し、施設全体としての稼働率100%を目指す。

▲チラシの自動投入機

EC事業者の取り込みに向けては、商品購入者の性別・年齢などの特性に合わせて商品チラシを自動投入する機能や、全社共通の発送箱に指定のロゴマークやQRコードを自動印字する機能を採用しているほか、EC事業者が選択可能な宅配大手3社のうち、佐川急便とは2020年の早い段階で夕方18時と深夜0時の2便集荷体制を構築するという。2便集荷となれば、受注から納品までの配送日数を従来と比べて最大1日短縮することができる。

同社の中安良二デジタルビジネス開発部長は、ことしSGホールディングスが稼働させた同様の施設を念頭に、「SGHDとは競合する部分もあると思うが、当社は中小規模のEC事業者にターゲットを定めている。大規模EC事業者には、従来通り個別設計を行う方が効率的であることが多いため、今後は事業者の特性に合わせて個別設計と共通プラットフォーム化の両輪でEC物流を開拓する」と、その方向性を語った。

■ECプラットフォームセンターの紹介動画