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吉田関東運輸局長「新しい形の効率化案件発掘へ」

2020年1月7日 (火)

▲関東運輸局長の吉田晶子氏(11月30日・JR貨物横浜羽沢駅のリニューアル開業式典にて、Logistics Today撮影)

行政・団体関東運輸局は6日、吉田晶子局長の年頭の辞を発表した。物流関連では、安心・安全に向けた取り組みの中で、厳格で実効性のある監査・処分を行う方針を示したほか、生産性向上に向けた取り組みでは、貨客混載や館内物流などの新しい物流ニーズに対応する効率化案件の発掘を目指す。

(以下、物流関連の抜粋・要約)

■災害発生時の対応について
昨年は台風15号及び19号などの記録的な豪雨による土砂崩れや河川の氾濫、強風などにより、関東地域においても甚大な被害が発生した。緊急時の支援物資輸送では、各都県に設置されている「支援物資物流システム連絡会」を通じ、地方自治体とトラック事業者、倉庫事業者との間の支援物資輸送の協力体制について検証し、海上輸送の選択肢を含め必要に応じてブラッシュアップを図るとともに、「ラストマイルにおける支援物資輸送・拠点開設・運営ハンドブック」の活用を推進していく。

■安全・安心に向けた取り組み
安全・安心の確保は、交通政策の基本であり、また運輸事業の最優先課題。関東運輸局としては、まず事業者にみずから安全性を高めてもらうべく、運輸安全マネジメント制度の徹底を図っていく。具体的には、運輸安全マネジメントのさらなる浸透を図るため、鉄道、自動車、海運、各分野の評価対象事業者に対するセミナーを開催するとともに、自動車運送分野につきましては、運送事業者が参加する各種講習会などにおいて、制度の周知に取り組んでいく。

自動車運送事業が関係する事故件数、死亡事故件数はともに減少傾向にあるものの、「事業用自動車総合安全プラン2020」を踏まえた「関東地域事業用自動車交通事故削減目標」の達成は容易ではない。特に昨年は、トラックと列車による踏切事故など、甚大な被害が発生した事故があった。このような事業用自動車の安全・安心を揺るがす社会的影響が大きい重大な事故は、二度と発生させてはならない。

ことしも引き続き、管内で発生した事故の調査・分析を行い、実態に即した安全施策を策定し、バス、タクシー、トラックの各業界と協力して取り組みを進めていく。また、各講習会などで事故防止を周知するほか、引き続き各種事故防止機器の導入補助を行い、事故の減少及び防止を図っていく。

自動車運送事業者への監査については、重大かつ悪質な法令違反の疑いのある事業者に対しては、集中的な監査と厳格な処分などの措置を講じるとともに、法令違反を是正・改善しない事業者を事業停止又は事業許可の取消処分とするなど、実効性のある監査・処分を行っていく。

■陸運産業の生産性向上と労働力確保に向けて
物流の分野では、少子高齢化に伴う労働力不足の顕在化や通販事業の拡大などの社会環境の変化に対応し、サステナブルな物流を実現することが喫緊の課題。このため、荷主や物流事業者の連携による輸送網集約、輸配送共同化、モーダルシフトといった物流の高度化・効率化を推進すべく、物流総合効率化計画の策定を支援していく。また、貨客混載やビル内物流の効率化などの新しい物流ニーズに対応した物流効率化の案件発掘にも取り組んでいく。

また、国際コンテナ戦略港湾である京浜港については、「京浜港物流高度化推進協議会」を通じ、港湾機能の充実強化に向けハード・ソフト両面にわたる取り組みを進めていく。

自動車運送事業においては、働き方改革により、2024年から罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されることを踏まえ、一昨年決定した政府行動計画を着実に実施していく。さらに、関東運輸局では、自動車運送事業における労働力確保のための取り組みとして、自衛隊の早期退職者の活用を促すほか、就労者数の少ない若年層や女性に対して各事業の役割や魅力を伝えるため、高等学校などへの訪問を通じた周知活動を図るほか、引き続き業界やハローワークと連携して人材確保を図っていく。

一方、トラック運送事業の魅力を高め、労働力確保につなげていくためには、トラック運送事業者だけでは解決できない問題も多く含まれている。『ホワイト物流』推進運動やトラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会の取り組みなど、荷主とも問題意識を共有のうえ、施策を進めていく。また、一昨年改正された貨物自動車運送事業法が昨年の7月と11月に順次施行されていることから、本年も改正法の適正な運営に努める。

■海運産業の労働力確保に向けて
海上労働については、船員の不足・高齢化が深刻な状況の中、社会全体で人材確保競争が激化していることもあり、国土交通省で検討が進められている「船員の働き方改革・今後の内航海運のあり方」なども踏まえて、引き続き関東地方船員対策協議会とハローワークと連携し、積極的に船員確保に取り組んでいく。さらに、内航海運業の安定的輸送の確保・生産性向上に向け、「内航未来創造プラン」の施策である「499総トン船の居住区拡大に伴う船員配乗の緩和措置」の制度などを活用した労働力不足対策にも取り組んでいく。