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全ト協緊急調査、本来なら繁忙期の引越に打撃大

運賃減収一気に拡大、運転職向けマスク配布求める

2020年3月27日 (金)

ロジスティクス全日本トラック協会(全ト協)は26日、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻だとして、自民党と公明党に対して支援を求めたことを明らかにした。3月9日から13日にかけて実施した緊急調査の結果、運送事業者の著しい減収傾向が明確に表れたことから、ドライバー向けにマスク、備品などを優先的に配布することや、雇用調整助成金の助成率アップ、高速道路の利用促進策などを求めた。

▲輸送トン数推移(出所:全ト協)

全ト協の調査結果によると、新型コロナウイルスの感染拡大を背景にとした平均輸送トン数は、1月に前年同月比マイナス5%、2月はマイナス2%で推移していたが、3月に入るとマイナス9%と一気に減少幅が拡大。運送収入もアンケート回答事業者826社の平均で290万円減少していることが判明した。

また日通総研の調べによると、営業用トラックの国内貨物輸送量(1-3月)はマイナス8%と大きく落ち込む見通しで、4-6月がマイナス7.9%、7-9月がマイナス9.9%とさらに悪化する予測が出ている。

中小・零細事業者が99%以上を占める運送業界において単月で290万円の減収がもたらす経営への影響は大きく、今後の見通しも明るさが見えないことから、思い切った公的支援が講じられない場合、経済を支える物流へのダメージは加速度的に大きくなる可能性がある。

全ト協では輸送品目別の運送収入についても調べているが、3月は調査したすべての品目で運送収入が減少。特に、例年であれば繁忙期を迎えている「引越」の減収が平均マイナス2707万円と著しい。また、宅配・特積貨物や書籍・印刷物、生鮮食品、加工食品といった、インターネット通信販売の比率が高い品目の輸送を担う事業者も減少に転じている。

■輸送品目別の運送収入状況

(出所:全ト協)