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邦船社初の自社養成船長誕生「人生かける価値ある」

2020年4月10日 (金)

ロジスティクス日本郵船は9日、自社養成の海技者である森映宏(あきひろ)さんを4月1日付で船長に登用した、と発表した。一般大学卒の海技者を船長に登用するのは、邦船社としても今回が初めての事例となった。

▲船長辞令を受けた森映宏さん

同社は、幅広いソースから安定的に人材を確保する目的で、2006年に自社でゼロから海技者を養成する制度を開始。これまでは、商船大学または商船高専で船舶の運航に必要な海技士免許を取得するための過程を修了した学生を採用するのが一般的だった。

同社の自社養成海上職社員のキャリアパスは、一般大学出身者を商船系教育機関出身者と区別せず、入社後15、16年目をメドに船長・機関長に登用することをモデルコースとしており、森映宏さんの船長登用もこれに沿って行われた。

森さんは、06年に4年制一般大学を卒業し、同年に自社養成制度の第1期生として日本郵船に入社。入社後に海技大学校に入学し、新設された課程で基礎知識を学んだ後、航海訓練所(現海技教育機構)の帆船実習と社船実習を経験し、08年に3級海技士免許(航海)を取得した。

その後は、航海士として自動車船、LNG船、ドライバルク船などで乗船経験を積み、陸上勤務でも海上で培った高い専門性を生かすなど幅広いフィールドで活躍。昨年1級海技士の免許を取得し、ことし4月1日付で船長辞令を受けた。今後は、数年間の陸上勤務の後、船長として実職に就く。

海技者はタフな仕事ではあるが、それだけにやりがいも大きいし、また活躍できるフィールドが海上だけでなく陸上勤務にも及ぶなど非常に幅広い。人生をかけて従事する価値ある仕事だと思っている。こうした苦労も理解した上で海技者を目指したいと思うなら是非、当社の自社養成の門をたたいてほしい。邦船社初の自社養成船長・森映宏さん
日本人海技者は海上勤務の経験をもとに、陸上部門においても船舶管理、積荷管理のみならず新技術開発、人財教育、デジタライゼーションなどを技術面で支える業務に携わり、当社のESG経営の根幹を支えている。海洋事業、洋上風力発電事業などの新規事業に進出する際にもその最前線で広い知識と多様性が求められるため、今後も優秀な日本人海技者の確保・育成に注力し競争力の源泉としたい。日本郵船専務経営委員で船長の小山智之氏