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タクシーの貨物運送OK、「トランク」の定義が焦点に

2020年4月22日 (水)

話題国土交通省は21日、新型コロナウイルスの影響により経営維持が困難な状況にあるタクシー事業者に対し、同じく営業自粛に追い込まれている飲食店からの飲料や食料など、「公共の福祉を確保するためやむを得ないもの」の運送に限り、タクシーの利用を特例的に認めることを各地方運輸局に通知した。

(イメージ画像)

対象となるのは、従業員の雇用維持と事業継続に取り組み、運転手の健康管理を適切に行っているタクシー事業者で、運送する貨物は「トランク」に収納できる範囲まで。

期間は暫定的に5月13日までとし、旅客運送需要が回復したと認められる場合には旅客運送に注力するよう促す。また、タクシー運送よりトラック運送の方が「適当」と考えられる貨物の場合には、許可を行わない。

タクシー事業者が旅客輸送の減少と従業員の雇用維持を証明する書類を提出し、荷主(飲食店など)とタクシー事業者のいずれかが、タクシーによる貨物運送を利用する「理由書」を作成して書類に添付、または後日提出することで運輸支局長が特例を認める。

貨物運送中は、車体前面に「貨物」と表示する必要があり、旅客と貨物を同時に運送することはできない。

(イメージ画像)

貨物課に確認したところ、タクシー事業者と荷主間の契約について行政は関与せず、料金の設定は自由に行えるという。セダンタイプのタクシーであれば、トランクに積み込める量が限られるため、人件費・車両費・積載量の関係から、貨物1個あたりの運送料金をトラック運送以上に安く設定することは難しいと考えられるが、ワンボックスタイプのタクシーでは話が変わってくる。

取材に対し貨物課の担当者は、「ワンボックスタイプの場合トランクがどこまでを指すのか、タクシー事業者から問い合わせが殺到している。早急に範囲を決定して知らせる」と回答した。

仮にワンボックスタイプの後部座席を折りたたんで貨物を積載しても良いとした場合には、宅配車両並みに貨物を積載できるため、料金設定に大きな影響を与えることが予想される。

※4月22日午後追記
国土交通省の担当者は22日、トランクが明確でないワンボックスタイプのタクシーの貨物運送について、「衛生面などを考慮して、後部座席の背部にある荷物用スペースに専用の箱などを設置し、その中に飲料や食料などを入れてもらうことを想定している。後部座席を折り畳んで大量の貨物を積載することは想定外で、その場合にはトラック運送の方が適しているという判断になるのではないか」との考えを示した。

国交省は、今回の特例措置が使用される場面として少量の食料品輸送を想定しており、タクシー事業者と荷主の間で、1台に大量の貨物を積載して運送する契約を結ぶ場合には、運輸局から許可が下りない可能性がある。