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事業用トラックのエネルギー消費効率4年連続悪化

2020年6月8日 (月)

環境・CSR国土交通省は5日、省エネ法で一定規模以上の事業者に提出を義務付けている報告書を取りまとめ、2006年度から18年度までの輸送区分別の省エネ取組状況を発表した。

貨物輸送の場合は輸送量あたり、旅客輸送の場合は輸送距離あたりのエネルギー使用量を指す「エネルギー消費原単位」は、タクシー・バス・旅客鉄道・旅客船舶などの旅客輸送では減少傾向にあるものの、貨物輸送は自家用貨物トラックを除いて増加傾向となった。

特に事業用貨物トラックは09年度からほぼ横ばいで推移しているが、14年度からは緩やかに増加。5年度間で年平均1%以上削減することが改善目標となっているが、その目標を達成している企業も減少傾向にある。

■事業用貨物トラックのエネルギー消費原単位

目標未達成の主な理由は、貨物量の減少、増車、走行距離の増加、車両の大型化、荒天時の低速運転、冷凍冷蔵機の使用頻度増加、近距離輸送への転換、車両の老朽化――などの影響が挙げられている。「増車、走行距離の増加、車両の大型化」については、配送エリアの拡大や納品先の分散化などによる配送効率の悪化が要因と考えられる。

ほか輸送区分へのモーダルシフトによりトラック輸送にエネルギー消費の高いものが残されていることも考えられるが、貨物船舶も貨物減少による空船回航の増加で16年度からエネルギー消費が増加傾向にあるため、事業用貨物トラックのエネルギー消費増加傾向は、主に輸送効率の悪化が原因とみられる。

報告書をまとめた国交省環境政策課に今後の方針を聞いたところ、「この結果を受けて直ちに環境対策車の導入補助を強化する考えはない」と回答があった。今後は現行の補助制度で環境対策車を導入しながら輸送効率化の取り組みをさらに推し進め、トラックメーカー各社が開発を進める水素燃料電池トラックなどの次世代環境対策車が普及するのを待つことになりそうだ。