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運輸安全委員会が事故調査報告書を公表

コンテナ船衝突事故、原因は「水先人との信頼関係」

2020年8月27日 (木)

事件・事故運輸安全委員会が27日に公表した事故調査報告書によると、2018年8月17日に四日市港で発生したコンテナ船「OOCLナゴヤ」のガントリークレーン衝突事故は、船長と水先人の間で「十分な信頼関係を形成できなかったこと」が主な原因だった。

OOCLナゴヤがガントリークレーンに接触した様子(出所:船舶事故調査報告書)

この事故は、コンテナ船が水先人の水先で四日市港第3区霞ケ浦南埠頭26号岸壁に着岸しようとしたところ、左舷船首が岸壁上のガントリークレーンに衝突したもの。

水先人が入船左舷着けで着岸操船を行っていた中、船長が同船の速力を早く感じたことから、即時に介入してコンテナ船の動きを完全に止めようと全速力後進まで使用、これによって同船は前進行きあしを失い、左舷方に係船していた自動車運搬船の方向に圧流されたため、船長は衝突を避けるために全速力前進として前進させたものの、姿勢を制御できず、左舷船首が岸壁上のガントリークレーンと衝突した。

(出所:船舶事故調査報告書)

この事故について運輸安全委員会は、船長が「水先人との十分な信頼関係を形成できなかったこと」と、船長が同船の速力を速く感じたため、「コンテナ船の動きを完全に止めようと思ったこと」に原因があるものとし、信頼関係を形成できなかったのは、船長が「水先人の説明が十分に行われていないと感じていたこと」によるものと推察。

再発防止策として、(1)船長は、水先人が行おうとする操船に不明な点があれば、明確にするよう水先人に説明を求めること(2)船長は、操船に必要な情報が船橋内で共有できるよう、日頃の教育訓練を通じ、BRM(船橋資源管理)を活用すること(3)水先人は、操船意図を十分に説明し、水先対象船舶の船長が不安を抱くことなく、信頼を寄せる関係を築けるよう、確実に情報共有を行うこと(4)水先人は、水先対象船舶におけるBRMに積極的に参画すること――を提示した。