調査・データ日本郵船は1日、東芝エネルギーシステムズ、川崎重工業、日本海事協会、ENEOSの4社で、2020年9月より「高出力燃料電池搭載船の実用化に向けた実証事業」を開始すると発表した。
この取り組みは、新エネルギー・産業技術総合開発機構の助成事業による公募採択を受けたもの。商業利用可能なサイズの燃料電池(FC=Fuel Cell)搭載船の開発と水素燃料の供給をともなう実証運航は、日本初となる。
FCを動力とすることによって航海中の温室効果ガス排出量を100%削減することができる。

▲(出所:日本郵船「実証事業の取り組む範囲」)
実証実験では、中型観光船の船型にした150トンクラス相当(旅客定員100人程度)の高出力FC搭載船舶を開発し、2024年には、水素燃料の供給をともなうFC搭載船の実証運航を目指す。
具体的には、2020年9月からFC搭載船と水素の燃料供給に関して調査と検証を開始し、2021年から本船と供給設備の設計に着手する。2023年から建造と製作を開始し、2024年に横浜港沿岸にて実証運航を開始する予定。

▲(出所:日本郵船「期間およびスケジュール」)
日本郵船は、プロセスについて2020年代は検証期間と考えており、実用化は2030年前後と見込んでいる。
社名 | 役割 | 技術的な課題など |
---|---|---|
日本郵船 | プロジェクト統括、船舶の設計・法規対応 | 燃料の安全な取り扱い、教育やマニュアルなどのソフト面 |
東芝エネルギーシステムズ | 高出力FCシステムの船舶への実装と運用技術開発 | 高出力な電池の開発、制御ソフトや船舶搭載への設計 |
川崎重工 | 船内水素燃料供給システムとEMSの開発 | 安全面でのオペレーション |
日本海事協会 | FC搭載船の安全性評価 | これまでにない安全基準の作成 |
ENEOS | 水素燃料供給システムの開発 | 短時間に大量の水素充てんを行う技術、経済性のある燃料供給と環境性能 |