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ヤマト、ライバルの日本郵便にDM便の配達委託

2020年10月6日 (火)

ロジスティクスヤマト運輸は6日、全国10道県でメール便サービス「クロネコDM便」の配達業務を日本郵便に委託すると発表した。同社が都道府県規模でクロネコDM便の配達業務を他社に委託するのは初めて。

来年2月1日から山形県で委託を開始するのを皮切りに、3月1日に富山県、福井県、山口県、香川県、鹿児島県へ、4月1日には北海道の道北地域と静岡県の東静岡地域、奈良県、福島県へと委託エリアを拡大する。

「ライバル」の日本郵便にクロネコDM便を委託した背景には…

クロネコDM便は、2015年3月に信書問題を契機として「前身」のクロネコメール便が廃止され、「非信書」を届ける代替サービスとして登場した。しかしその後、商品の同梱発送が厳格に禁じられたり、受託数が増えすぎて配送現場の労働環境が悪化したりといった環境変化に対応する流れで、さらにクロネコDM便を代替するサービスとして「ネコポス」や「宅急便コンパクト」などの「小さな荷物を対象とした配送サービス」が打ち出された経緯がある。

これらの小さな荷物サービスの配送料金は、クロネコDM便に比べて実質的な値上げとなったが、配送品質の高さや拡大するネット通販需要に後押しされ、クロネコDM便の減少傾向に反比例する形で増加を続けている。

6日、発表となった上半期(4-9月)の取扱実績を見ると、ネコポスが前年同月比で46%増の1億2250万3450個と大きく伸びたのに対し、クロネコDM便は23.4%減の3億9813万7914冊と減少傾向をたどっている。依然としてネコポスの3倍以上を取り扱っているが、特段、クロネコDM便に対するテコ入れは行われておらず、今後もネコポスなどの小さな荷物サービスへのシフトは続くとみられる。

こうした経緯でクロネコDM便の利用数が徐々に減少し続ける中、「ライバル」である日本郵便への委託に踏み切った背景には、地方部で配達人員の確保が一層難しくなっているという事情も影響した。委託先に日本郵便を選んだ理由について、ヤマトホールディングスは「クロネコDM便をやめるつもりはなく、今後も安定的にサービスを継続するため」と説明。今回、委託を決めた10道県以外への委託エリアの拡大については「現時点で、拡大も縮小も考えていない」(ヤマトホールディングス)としている。(編集部)

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