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日販が週刊誌の送本拠点集約、10年で部数半分以下に

2020年11月5日 (木)

ロジスティクス日本出版販売(日販)は4日、これまで入谷営業所(埼玉県川口市)で行っていた週刊誌の送品について、東京都練馬区の「ねりま流通センター」と北区のCVS営業所の2拠点に移管し、雑誌の送品拠点を3拠点から2拠点に統合したと発表した。10月に入って拠点統合に伴う移管作業に着手し、同月31日に完了した。

日販ではこれまで、書店向けの送品を行うねりま流通センター、コンビニエンスストア向けの送品を行うCVS営業所、週刊誌の送品を中心に行う入谷営業所の3拠点で雑誌の送品を行ってきたが、1995年を境に出版物の流通量が減少していた。特に雑誌の減少幅は大きく、19年の推定販売部数と10年前の09年と比べると57%減(週刊誌のみの場合は64.1%減)と、当時の半分以下の規模になっている。

流通量が減少する一方、配送先数は横ばいの状態が続いていたことから3拠点で出荷体制を継続してきたが「現在の流通量に見合った適切な体制にリサイズ」(日販)するため、仕分工程を見直して作業効率を高めるとともに、製本会社、運送会社の協力を得て搬入や出荷時間を調整。これにより、入谷営業所を閉鎖し、書店向けの週刊誌送品をねりま流通センターに、コンビニエンスストア向けの週刊誌送品をCVS営業所に統合することができた、としている。

拠点統合は必然だが…

同社の報道発表からも推して知れるのだが、いまや紙媒体の流通量は減少の一途どころの騒ぎではなくなっている。出版界における「取次」という言葉すら「かつての」という一言をつけたくなるような現状だ。アマゾンを筆頭する出版社直接取引の販売者の台頭や電子書籍化の大波によって、出版の流通システムは本流が不明となった。

物量が減れば集約は当然となるのが、物流業務の基本だが、ここにきての統合発表は「いまになって」という感がぬぐえない。「紙製の出版物」と但し書が必要な昨今、出版社のニーズは中間流通や書店経営のサポート以外の比率が高まっているはずだ。業界のガリバーとして君臨してきた大手取次の「次の手」が、単なる物流拠点の統合にとどまるはずはない、と期待してやまない。(企画編集委員・永田利紀)

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