ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

サノヤスHD、新来島どっくに造船事業譲渡

2020年11月10日 (火)

M&Aサノヤスホールディングスは9日、同社が保有する子会社・サノヤス造船の全株式を新来島どっくへ譲渡すると発表した。年明け1月15日に臨時株主総会を開き、特別決議で株主の承認を求める。1911年創業のサノヤス造船は来年3月1日以降「新来島サノヤス造船」として再出発することになる。

サノヤスHDが中核事業会社であるサノヤス造船の株式を新来島どっくへ譲渡するのは、日中韓の造船所を中心にリーマンショックから長らく続く造船設備過剰、潜伏過剰という造船業界の構造的な問題に加え、新型事なウイルスの流行によって同社が期待していた産業用設備製造事業も不振に陥り、先行きが見通せない不安定な状況となり、ここ数年続いていた赤字決算を余儀なくされる状況に耐えきれなくなったことが大きい。

特にサノヤス造船の主力船種であるばら積み船の需要は大きく落ち込んだままで、「回復の兆しがまったく見えない事業をこれ以上継続することは当社の財務体力上困難」な状況に追い込まれた。

また、新造船市場が回復したとしても「中韓で巨大な造船会社が誕生し、資機材調達関連のコスト競争、環境規制・デジタル化推進といった新造船の技術開発競争が熾烈化する中、当社単独の造船事業規模では生き残っていくことは難しい」と判断。「造船事業の未来をつなぐ」ことを理由に、譲渡先に新来島どっくを選定した。

新来島どっくは造船業に集中する基本戦略で多数の造船所を傘下に置き、自動車運搬船やケミカルタンカーなど多くの船種を手がけ、年商1000億円規模を継続しており、サノヤス造船が新来島どっくグループ入りすることで「これまで実現の難しかった多船種建造への挑戦や、同じ瀬戸内海で開発・設計・製造分野の協働を進めるなど、新機軸を打ち出す」ことに活路を見出す。