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秋田発モーダルシフト、仙台強化で現実味

2026年3月1日 (日)

国内JR貨物が3月14日に実施するダイヤ改正は、東京-大阪間の大幅増強に注目が集まるが、東北発着の輸送力強化も見逃せない。仙台ターミナルを起点とした増便・再編により、秋田発の長距離貨物が鉄道に乗りやすくなる。ドライバー不足で秋田-関東・関西間のトラック手配が年々厳しくなるなか、荷主にとって鉄道シフトが現実的な選択肢に浮上している。(編集長・赤澤裕介)

仙台発着の輸送力は今回の改正で東京方面20個増、名古屋方面15個増、大阪方面30個増と各方面で底上げされる。3074列車、3075列車の新設・再編で東北圏内の接続も改善した。秋田貨物ターミナルから仙台ターミナル経由で東京、大阪、名古屋方面へ送る流れが、ダイヤ上も整った格好だ。

(クリックで拡大、出所:JR貨物)

秋田から関東・関西へのトラック輸送は長距離になる。2024年4月に施行されたドライバーの時間外労働上限規制(いわゆる2024年問題)により、1人のドライバーが1日で走り切れる距離には限界が生じた。中継輸送を組めばコストが増し、そもそもドライバー自体が確保できないという声は秋田の荷主から頻繁に聞かれる。こうした状況が鉄道シフトへの関心を押し上げている。

ラウンド輸送の先行事例

▲段ボール製品の積み込み(出所:JR貨物)

秋田発の鉄道シフトでは、DOWAエコシステム(東京都千代田区)のラウンド輸送が先行事例として知られる。リサイクル製錬(都市鉱山)の貨物を東京-秋田間で往復積載し、片道空車になりがちな鉄道輸送の弱点を克服した。秋田発の工業廃棄物や金属スクラップを東京方面へ運び、帰り便で別の貨物を積み込む。26年現在も運用は継続しており、仙台ターミナルの増強でさらなる増便・速達化が見込まれる。

往復で貨物を積載するラウンド輸送は、コンテナの回転率を上げる効果がある。JR貨物が全社的に推進するラウンドマッチングと方向性が一致しており、秋田発の新たな往復ルート開拓にもつながる可能性がある。鉄道貨物は片道輸送になりがちで、空コンテナの回送がコスト増や供給不足の一因となってきた。往路・復路の両方で荷物を積める組み合わせを増やすことが、コンテナ不足の緩和にも直結する。

秋田発でシフトしやすい品目は食品(米、酒、水産加工品)、工業品・紙製品、リサイクル・廃棄物だ。いずれも秋田-関東・関西間の長距離トラック輸送でドライバー確保が困難になっている分野で、鉄道への切り替え余地は大きい。特にコメは収穫期に大量輸送の需要が集中するため、トラックだけでは対応しきれないケースが増えている。

秋田貨物ターミナルは20フィート、30フィート、40フィートのコンテナに加え、産業廃棄物の取り扱いにも対応する。所在地は秋田市泉菅野1で、JR貨物北東北支店(秋田在勤)が同ターミナル内に置かれている。積替ステーションが設置されており、緊締車を持たない一般トラックでも持ち込みからコンテナへの積み替えが可能だ。パレットを1枚単位でレンタルできる「駅パレ」サービスもある。改正で取り扱い区間が広がった31フィートコンテナは大型トラック並みのサイズで、積載効率が高くモーダルシフトの効果が大きい。秋田貨物でも利用できる。

31フィートコンテナは大型トラック(10トン車)の荷台とほぼ同じサイズのため、荷姿を変えずに鉄道へ載せ替えられる点が最大の利点だ。12フィートコンテナへの小分け作業が不要になり、積み替えにかかる時間と人手を削減できる。秋田のように人手不足が深刻な地域では、この省力化の効果は大きい。

鉄道貨物を初めて使う荷主にとって、予約の手順はハードルになりやすい。最も手軽なのは日本通運やヤマト運輸といった利用運送事業者への委託だ。秋田の地場業者や大手通運に「秋田貨物から東京・大阪方面へ鉄道で」と伝えれば、荷票作成、コンテナ手配、集荷まで一括で対応してくれる。中小荷主が初めて使う場合はこの方法が最も確実だ。

JR貨物の予約試行版サイトではログインなしで空き状況を確認できる。本予約は利用運送事業者経由が推奨されるが、直接予約も段階的に整備が進んでいる。鉄道コンテナ輸送の総合管理システムIT-FRENS(アイティーフレンズ)のキャンセル待ち登録を使えば、空きが出た時点で通知を受けられる。24年8-12月の実績で3万6447個の枠がキャンセル待ちから取得されており、利用価値は高い。

改正後は東京-大阪、仙台方面の新枠がすぐに埋まると予想されている。出荷の2週間前に予約を入れ、平日午前中を狙うのが基本だ。休日の積載率は54.9%と余力があるため、出荷日を調整できる荷主は休日便の活用も選択肢になる。31フィートコンテナを指定すれば積載効率が上がり、枠の確保もしやすい。初回は支店に電話で「秋田発、31フィート希望」と伝えるのが最もスムーズだ。

初回相談はJR貨物北東北支店(秋田在勤、050-2017-4419)が窓口になる。東北支社営業部(仙台、050-2017-4129)でも時刻表や空き状況の案内を受けられる。「秋田発、31フィート希望」と伝えるとスムーズだ。

(イメージ)

注意点もある。秋田港線は26年7月に廃止されるが、秋田貨物ターミナルの利用には影響しない。冬期は雪害による遅延リスクがあり、2月には東北線で遅れが多発した。輸送計画には余裕を持たせる必要がある。鉄道貨物は定時性が高いとされるが、冬の東北では天候リスクを織り込んだうえでの利用が前提となる。急ぎの貨物はトラックとの併用も視野に入れ、鉄道をベースロードとして活用するのが現実的だ。

秋田のような地方発の長距離貨物こそ、モーダルシフトの恩恵が大きい領域だ。トラックの手配が年々難しくなるなか、仙台ターミナルの強化は秋田の荷主に新たな選択肢をもたらす。鉄道貨物は「大手が使うもの」というイメージが根強いが、利用運送事業者経由であれば中小荷主でも手軽に始められる。積替ステーションや駅パレといったサービスも、参入のハードルを下げている。まずは少量から試し、運用の感覚をつかんだうえで本格的にシフトを進めるのが堅実なアプローチだ。

改正後の枠は早い者勝ちだ。関心のある荷主は今のうちに北東北支店へ連絡し、改正直後から使える枠を押さえておきたい。秋田発の鉄道シフトを始めるなら、今回の改正はちょうどいいタイミングだ。

JR貨物が17年ぶり輸送力増強、3月14日改正

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