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江崎新聞店、料理配達と連携し「新たなモデル目指す」

2020年11月19日 (木)

フード創業から111年の老舗新聞販売店・江崎新聞店(静岡市葵区)は19日、東京都港区周辺で20日からフードデリバリーと買い物支援サービスを開始する、と発表した。

フードデリバリーの「menu」(メニュー、東京都新宿区)、ダブルフロンティア(千代田区)が提供する買い物サポートサービス「ツイディ」と提携し、麻布十番の販売所が新聞配達と組み合わせて取り組むもので、「デリバリー従業者に一定の待遇を保証した形で配達網を成立させるビジネスモデルの構築を目指す」(同社)。

拠点となる販売所は、同社が昨年、毎日新聞社麻布赤坂販売所を引き継ぎ、3月に大幅改装オープンした拠点で、企画当初からデリバリーサービスとの連携を重点テーマとして掲げていた。

在宅時間が長くなる中、デリバリーサービスの需要が高まる一方で「ギグワーカー」の待遇保障に関する議論も起きていることから、デリバリーサービスを展開するスタートアップとの連携を強め、「新聞配達網の高度活用の形」を整え、「コロナ後の新聞販売店のあり方と、デリバリーサービス従業者の待遇保障のかたち」を発信する、としている。

必然のサービス参入

既存の地域配達サービス各業は、個配や出前などのデリバリー業務参入するにあたっての障壁がもっとも低く、それゆえに各地で多様な提携や新規事業として増加の一途だ。本記事の新聞販売店や牛乳配達、集配するクリーニング業、ポスティング業――つまり街区を巡回する業なら、すべてが参入者としての基本条件を満たしていることになる。

最近の新聞販売店では、高齢者従業員の姿が目立つ。以前のように家族経営の労働力不足を最少人数のアルバイトで補充、というだけではなく、作業や個人負担の細分化によって少量業務を多人数でこなすというスタイルの販売店も増えているようだ。

一日のうちの数時間を近隣地域での配達業務に費やすことで、肉体を動かし、社会参加を維持し、相応の所得を得ることができるという、高齢者層の欲求に合致しているのだろう。この傾向は個配や店頭販売などの各分野でも目立ち始めている。

少子高齢化による労働力不足、という常套句を妄信するのはやめなければ――そう感じさせる「高齢者だが労働力としてはまだ健在」の具体例だ。(企画編集委員・永田利紀)