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ユニセフ、ワクチン輸送で物流企業と連携協議入り

2020年11月25日 (水)

国際ユニセフ(国連児童基金)は24日、新型コロナウイルス感染症ワクチンが入手可能になり次第、世界92か国以上に届けるため、350社以上の主要な航空・物流企業と連携協議に入ったことを明らかにした。

同機関は先週、汎米保健機構(PAHO)、国際航空輸送協会(IATA)と共同で世界の主要航空会社に向けて予想される輸送量の要件を説明した上で、2021年に20億回分のワクチンを輸送する方法について話し合った。実際の輸送時はこれらに加え、10億本の注射器が海上輸送される。

ワクチンの輸送について協議するために開かれた物流企業とのオンライン会議には、航空貨物輸送業者、船会社、国際物流事業者を含む350社以上の物流企業が参加した。

ユニセフ物資供給センター長のエトレバ・カディリ氏は「歴史上類を見ない規模の計画で十分な輸送能力を確保するため、この協力は長い道のりを歩むことになるだろう。ワクチン、注射器、そして医療従事者など世界中の最前線で働く人々を守るための個人用防護具を届けるには、すべての人々の力が必要だ。最前線で働く人々を守ることは、最終的に、彼らの提供する重要なサービスが不可欠な何百万人もの子どもたちを守ることにつながる」と述べた。

今後、数週間の間に目標との差、将来の条件を特定するための既存輸送能力を評価する方針で、PAHOと協力して92か国の低・中所得国のワクチン調達と輸送の手配も行う。

ユニセフは、ワクチンと予防接種のための世界同盟「GAVI」が立ち上げた新型コロナウイルスの公平な普及のための仕組み「コバックスファシリティ」と契約している医薬品メーカーからのワクチン調達、輸送に向けた取り組みを主導している。

■ユニセフの新型コロナウイルス緊急募金窓口
https://www2.unicef.or.jp/webapp/controller/bokin/onetime_input.php?type=3&source=810007&q31cha8921=btfbjs9trjddgh7320d0

国家や組織の縦割りによる不効率を憂う

COVID-19ワクチンの国際輸送をはじめ、業務消化容量や配布にあたっての設備要件などが連日のようにメディアに登場する。順調な進捗を願うばかりだが、WHOやユニセフをはじめ、各国政府機関などがそれぞれに物流ネットワークの構築を命題として掲げていることには一抹の不安を覚えてしまう。

国際・国内物流を担う幹事各社からすれば、入荷から保管、出荷・配達完了までの統一ルールを一刻も早く確定させたいだろう。温度管理上の差異による保管・運送条件以外は世界共通ルールで進めることが最善であるという申し合わせもしかりだ。

なによりも「船頭多くして…」のような混乱は絶対に避けたい。国家間や各組織の主義主張はひとまずひっこめて、ここは各国各法人が協調してワクチン流通に取り組んでもらいたい。最短の事態収束こそ、人道的にも経済的にも最大の各国利益となるからだ。(企画編集委員・永田利紀)