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名古屋港の貨物船衝突事故、両船の”思い込み”が原因

2020年11月26日 (木)

事件・事故運輸安全委員会が26日に公表した船舶事故調査報告書によると、2019年3月11日にGSM社(韓国)のタンカーと愛知海運(名古屋市港区)の貨物船が名古屋港北航路で衝突した事故の原因は、両船の船長による思い込みと、思い込みによる意思疎通不足だったことが分かった。

この事故では、荷役時間を確保するため航路を外れていたタンカー(4251トン)が、北航路内に向けて南西進中に貨物船(299トン)を認め、左舷対左舷で通過するものと思い込んでいたが、貨物船は航路内にいる自船が進路を保持する立場であるため、タンカーが自船を避けるものと思い込んで左転し、この結果として両船が衝突した。

運輸安全委員会では、この事故の原因を「タンカーと貨物船の間で、国際信号旗を用いた進路信号の確認が行われなかったことと、VHF(船舶間共通通信システム)による意思疎通が適切に行われなかったこと」と推定し、今後同様の事故を起こさないためには、「他船の動向に疑問を感じた際には、他船の動向を思い込みで判断せず」、互いの操船意図を確認することが重要であるとの認識を示している。

▲事故発生経過概略図(A船:タンカー、B船:貨物船、出所:運輸安全委員会)