フード「and.d」(アンドディー、東京都町田市)は17日、複数の店舗が受注する料理・食品をまとめて配送する「拠点集約型ローカルデリバリーシステム」の実証実験を開始した。
町田市の新商品・新サービス開発事業補助金を受け、既存の食事宅配サービスの課題を解決する新しい仕組みとして2021年2月26日まで実施する。
新型コロナウイルスの流行を背景にフードデリバリーの利用が増加する一方、店舗側は、(1)食事宅配サービスを始めたいが配送コストが高い(2)まとまった注文が取れない(3)注文時間が予測できないため、店内飲食のオペレーションを阻害する(4)現地支払いのためキャンセルリスクが高い(5)顧客情報を蓄積できない——といった課題を抱える。
そこで、アンドディーはECプラットフォームのShopify(ショッピファイ)を活用し、店舗が効率的に受注できるサイトを構築した上で、「飲食店の少ないエリアながらも通勤が多い町田市役所やオフィスビル」を配達拠点(ピックアップポイント)に設定。
これにより、飲食店は同社が構築したサイトを通じて、指定時刻までに入った注文をまとめて調理。一部の参加飲食店が配送を一元的に担い、取り組みに参加するそれぞれの飲食店を周って商品である料理・食品を集荷、ピックアップポイントへまとめて配達する。料理を注文した顧客は、ピックアップポイントに赴いて商品を受け取る。ピックアップポイント周辺では販促活動も実施するという。
この仕組みを構築することで、店舗側は配送コストを抑えながらもまとまった注文を取りやすくなる利点がある。ピックアップ時間を限定することにより、飲食店の生産効率向上やオンライン事前決済によるキャンセルリスクの低減も見込めるようになる。
実証実験では、町田市役所にピックアップポイントを設けて拠点集約型ローカルデリバリーシステムの仕組みを構築し、ニーズやコストを検証する。参加店舗は「栄通り商店会」に加盟するペダラーダ(洋食)、和が家(和食)、美舟寿し(寿司)の3店舗。今回は美舟寿しの配送車が集荷とピックアップポイントまでの配送を担う。
同社は「スケールできる体制を構築し、町田市と類似した地域に、商店街などと連携を図りながら展開していきたい」としている。