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国交相、準備不足は安全管理義務違反で処分方針

大雪の北陸で物流ストップ、輸送強行求める荷主も

2021年1月10日 (日)

▲10日朝、北陸自動車道金津IC付近(上り線)の様子

話題福井県の多くの地域で1月の観測史上最大となる降雪量を記録し、日本海側を中心に高速道路や一般道路などで多くの車両が立ち往生していることがわかった。気象庁のまとめによると、福井県内では積雪量が100センチを超え、10日10時時点の積雪量は勝山市の国道157号線で357センチ、福井市の県道31号篠尾勝山線で204センチに達した。

国土交通省が6日に大雪への警戒を呼びかける緊急発表を行うなど事前に予測されていたが、かえって本格的な積雪が始まる前にトラックを運行させて納品しようとする動きが活発化し、これらの車両が所属拠点へ帰投する際に道路上で立ち往生、身動きがとれない状態となっているケースがありそうだ。特に福井、石川、富山の3県では、積雪量の多い地域を発着する運行便が停止し物流がストップ、多くのトラックが車両基地内や道路上で動けない状況となっている。

■荷主が「一般道で輸送」指示、やむ得ず出発した事例も

▲福井市内の事業所の様子(9日午前)

幹線輸送の富士運輸(奈良市)では、道路上で立ち往生することが避けられない見通しとなった時点で、事前にドライバーにできるだけコンビニエンスストアの近くなど、食糧を確保できる位置へ移動するよう指示。10日午前の時点で、福井・石川県内の支店では所属車両の4分の1が拠点に戻れない状況だという。

同社は食糧や冬タイヤの準備、事前の気象情報などを把握した上で、輸送が可能と判断した拠点では車両を出発させた。松岡弘晃社長は「GPS車載端末などを通じてリアルタイムに車両の位置を把握し、ドライバーの状態は常時把握できている。最近は荷主の理解も進み、当社では無理に運行を強要する取引先がなくなった」と、荷主の理解や事前の準備によって対処できていることを強調する。

しかし、富士運輸のようなケースばかりではない。「事前にリスクが高まっていることはわかっていたため大半の運行を取りやめているが、荷主から一般道で可能な限り近づいてほしいという強い指示があり、やむを得ず走らせたトラックもある。道路はほとんど止まっていて、少しずつしか動けない状態だ」(福井県内の運送会社)と、荷主からの指示で出発し、立ち往生に巻き込まれたという証言も得られた。

▲9日夜、福井市内の国道8号線の様子

この運送会社によると「今回の積雪は、1日に1.5メートル積もった3年前の大雪に匹敵する積雪量だが、一気に降った当時に比べ、今回は断続的に降り続いたために車両の通行が続いてしまった可能性もある」。国道8号線に面しているという事業所の周囲の状況については「圧雪された雪の塊のために30センチ程度の段差があちこちにできていて、その段差のために車両が動けなくなっている。段差に突っ込んだ車両から外れたバンパーが道路上に散乱している」という。

■暖房停止、立ち往生の影響深刻化

国交省のまとめによると、北陸自動車道では10日朝6時30分時点で上り(米原方面)が365台、下り(新潟方面)が805台、立ち往生している。

▲10日朝、北陸自動車道金津IC付近(上り線)の様子

金沢から関西方面に納品帰りで回送中だったという大型トラックのドライバーは、LogisticsTodayの取材に対し「9日20時ごろから車両の動きが止まり、金津ICと丸岡ICの間で止まっている。ひと晩で20から30センチ程度の積雪があり、乗用車の床面程度の高さとなっているが、現在も降り続いている。9日夕方時点で道路情報サイト『i-Highway』(アイハイハイウエー)に何も表示されていなかったため、関西方面に行けるところまで行こうと考えたが、つかまってしまった」と、立ち往生の車列に取り残された経緯を説明する。

立ち往生による乗員への影響は、トラックより積載する燃料が少ない乗用車のほうが深刻化しやすい。「食糧についてはパン、コーヒー、水を買い込んでいたため、これらを少しずつ食べてしのいでいるが、周囲の乗用車が心配だ。前方の車両はミルクしか飲めない新生児を乗せているが、お湯を届けたくてもできないのが悔しい。暖がとれなくなってきている乗用車もある」と心配する。

■赤羽国交相「冬タイヤ未装着など悪質事例は監査し行政処分」

赤羽一嘉国交相は8日の会見で、「6日に大雪に対する緊急発表を行ったが、不要不急な外出を控え冬タイヤやチェーンを確実に装着することなど、大雪に対する警戒を道路利用者に呼びかけるとともに、バスやトラックなどの事業者に対しても、地方運輸局などを通じて徹底を図っている」と対応を説明した。

その上で「冬タイヤの未装着などにより、道路上で立ち往生した事業用自動車については、12月の関越道における事案以降、道路局から自動車局に通報する仕組みを確立しており、悪質な事例については監査で事実関係を確認した上で、安全管理義務違反として行政処分を行う」と発言。事前の準備をおろそかにした状態で立ち往生しているトラックなどに対しては貨物自動車運送事業法に基づく監査を行い、安全管理義務違反で摘発していく方針を示した。

また、NEXCO(ネクスコ)西日本でも「ノーマルタイヤでの雪道走行は、法令違反」だとして、運送会社に迂回(うかい)や運送日の調整を実施するよう呼びかけている。

▲9日夜、国道8号線の様子

▲福井市内の運送事業所の様子

▲北陸道で立ち往生している車両の様子

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https://www.logi-today.com/412686