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SBS鎌田社長、M&A各社「融合」でシナジー発揮

2021年2月19日 (金)

▲戦略を説明する鎌田正彦社長

財務・人事SBSホールディングスは19日、2020年12月期の決算説明会を開催し、鎌田正彦社長が2021年以降のグループ戦略について説明した。同社は2004年以降、M&Aにより20社以上をグループの傘下に収め、2018年にはリコーロジスティクス(現SBSリコーロジスティクス)、昨年11月には東芝ロジスティクス(現SBS東芝ロジスティクス)も取得して事業を急拡大しているが、引き続き各社のPMI(M&A成立後の統合プロセス)に取り組む。今後の注力すべき最大のポイントとして「グループ各社の融合」を挙げた。

鎌田氏は戦略の説明に際して、最初に「M&Aによるシナジー発揮」を掲げ、特に取得したばかりのSBS東芝ロジスティクスのPMIに注力する考えを強調。物流施設の相互利用、LT(ロジスティクス・テクノロジー)の活用とロボット化推進、海外拠点の最適な配置、基幹システム統合の4つを大きな柱として掲げた。

シナジーの創出に向けては、取得して間もないことから時期尚早との見方を示しながらも「現在は場所(拠点)が離れているが、行く行くは一緒になればシナジーが生まれる」と期待。また、今年に入り、早くも業績の上振れが見られていることについても伝え、今後のPMIへの意欲を示した。

合わせて、今年に入り株式の100%を取得した東洋運輸倉庫など「スモールM&A」による物流インフラ強化についても強調。同社については獲得した首都湾岸エリアの倉庫の活用を、昨年にSBSフレックが株式の49%を取得した日の丸急送については四国でのサービス拡充を、日本政策投資銀行と共同出資するファンドが出資しているアイアンドアイ千葉中央については、首都圏での配送網構築を、それぞれ強化する考えを示した。

取得から2年超が経過したSBSリコーロジスティクスについては、倉庫契約やラストワンマイルのプロジェクトなどに関して「進捗が速い」と評価。「今年に入り業績も上振れしており、グループにキャッチアップしている」と伝えた。そのほか、食品輸送のSBSゼンツウやSBSフレックなども好調が続いており、主力会社については「悪いところがなくなって、黒字化してきている」と説明。今年以降のさらなる成長に期待を示した。

そのほかには、注力している取り組みとして「IT×LTの現場導入プロジェクト」なども紹介。昨年4月にSBSホールディングスとSBSリコーロジスティクスの情報システム部門を再編し、EC配送向けの次世代配送端末によって、大手宅配会社並みのサービス構築に取り組んでいることなどをアピールした。

前期の利益を後押しした不動産事業に関しては、改めて総倉庫面積100万坪をめざすことを説明。開発中の野田瀬戸物流センターと横浜金沢物流センター(ともに仮称)に加えて、愛知県一宮市と千葉県富里市でも、物流施設開発に向けて土地を取得済みであることを伝えた。

なお、同社が12日に発表した前期の業績は、売上高が2571億円(前期比0.6%増)、営業利益が109億円(7.7%増)、最終利益が68億円(12.3%増)。物流事業はEC需要などを取り込んで前期並みの売上を維持し、不動産事業の利益が寄与した。今期は期初からSBS東芝ロジスティクスを連結対象に含めるため、売上高3800億円(47.7%増)、営業利益150億円(36.8%増)、最終利益84億円(23%増)を見込む。