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東商が独自調査

中堅中小、サプライチェーン改善の意識低く

2021年4月8日 (木)

(イメージ画像)

調査・データ東京商工会議所(東商)の流通・サービス委員会は8日、このほど実施した「中堅・中小流通・サービス業の経営課題に関するアンケート」の結果を公表した。コロナ禍の長期化などにより大きな影響を受けている流通・サービス業の経営状況や今後の課題などを把握し、政策提言に反映することが狙い。流通・サービス業に特化してコロナ禍の影響を調査したのはこれが初めてという。

それによると、75.8%の企業の経営が1年前と比べて悪化し、66.7%が優先度の高い経営課題として「販路拡大」を挙げていることが判明。また、サプライチェーンの課題については「物流」「ムリ・ムダ・ムラ」「商取引慣行」に関する各項目において、総じて「可能であれば対応」など積極性に欠ける回答が多く、東証によれば「課題であるとの認識が低く、課題への対応も進んでいない」傾向が明らかになったという。

改善が進まない要因としては「自社だけではどうしようもない」「取引先に合わせるしかない」といった回答が大勢を占めた。以下は「新分野への参入」「コスト削減」「資金調達」「デジタル化・IT活用」「顧客満足・取引先満足」と続いた。

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ただしデジタル化への対応については「コロナ禍を機にデジタル化やIT活用が増加した」と回答した企業は43.6%にとどまり、デジタル化などが進まない要因としては「必要だと思うが、他の業務が優先されてしまう」「社内に詳しい人材がいない」など、社内に余裕がない状況がうかがえる結果となった。

そのほか、日常業務における物流関連の困り事、取引先への要望では「物流費用が高い。配送運賃のコストダウンをお願いしたい」(卸売業と小売業)、「運送業者が強く、価格交渉の余地がない」(卸売業)、「物流・配送会社の人手不足により、時間の制約を受けている」(小売業)といった意見が多く挙がったという。

調査は2月から3月にかけて、大企業を除く会員企業7927社を対象に実施し、640社から回答を得た。業種別の内訳は消費財関連の卸売業427社、小売業152社、飲食・宿泊サービス業56社、無回答5社だった。