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トラスコ中山が物流IT2社と提携、名大とも連携

2021年6月15日 (火)

▲(左から)名古屋大学の松尾清一総長、シナモンの平野未来社長、トラスコ中山の中山哲也社長、GROUNDの宮田啓友社長

M&Aトラスコ中山は15日、GROUND(グラウンド、東京都江東区)、シナモン(同港区)の両社と資本業務提携を30日付で締結すると発表した。また、名古屋大学(名古屋市千種区)と産学連携協定を15日に締結したことも明らかにした。トラスコ中山は、30日付でGROUNDとシナモンの第三者割当増資を引き受けて、両社に5億円を出資する。3社は連携して新たな物流プラットフォーム「トラスコプラットフォーム」を構築し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した物流ソリューションを開発していく。3社提携と名古屋大学との連携により、最大250億円を拠出して2024年に「愛知新物流センター」(愛知県北名古屋市)を稼働させる計画だ。

各プラットフォームの概要(出所:トラスコ中山)

トラスコ中山は、今回の提携を契機として、18年より取り組んできたDX化に向けた活動を加速する。「ロジスティクス」「商品データ」「UX(顧客体験)」の3つのプラットフォームを整備し、AI(人工知能)やロボットを活用し、物流現場の効率化を支援するソリューションの開発を加速する。その実現に向けて、企業の枠を超えた連携が不可欠と判断した。GROUNDとシナモンも、今回のトラスコ中山との提携は、それぞれ得意とする先端技術をより広く物流業界に浸透させる好機ととらえる。GROUNDは物流施設向けのIT技術開発で定評があり、シナモンはAI技術を専門としており、IT化が遅れ人手不足をはじめとする課題が浮き彫りになっている物流業界への展開は大きなビジネスチャンスとなる。

今回、トラスコ中山が2社との資本業務提携に踏み切り、2社もそれに応じたのは、新型コロナウイルス感染症の拡大が長期化し、消費動向をも変革しようとしている「アフターコロナ時代」を見据えて、今後の成長を見込める物流業界を自社の技術展開を最大化させる舞台としての「最適解」と判断した思惑がある。愛知新物流センターは、それを象徴する事例となる。

名古屋大学との連携については、「人と機械の共創」をモットーに、物流現場へのDX普及を促進する観点から、共同研究や人材育成を含めて包括的に連携していく。中長期的には数億円を拠出し、愛知新物流センターを舞台とした研究開発を進めていくという。

トラスコ中山の中山哲也社長は、この日の東京都内での記者会見で、今回の資本業務提携と産学連携の意義について、「未来を託せるパートナーとして、GROUND様とシナモン様とともに、最先端のデジタルテクノロジーで物流ソリューションを提供していく」と強調。名古屋大学との産学連携については「産業構造転換の推進力となる取り組みを進めていきたい」と話した。