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神奈川県茅ヶ崎市でマルチテナント型物流施設が完成

複数の高速道路を使える「強み」が拠点選定の肝だ

2021年7月8日 (木)

拠点・施設ESR(東京都港区)は8日、マルチテナント型物流施設「ESR茅ヶ崎ディストリビューションセンター」(茅ヶ崎DC、神奈川県茅ヶ崎市)の建設工事を6月30日に完了したと発表した。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う宅配需要が高まるなかで、首都圏や東海圏、関西圏へ荷物を配送しやすい立地であることの優位性を前面に出す。ESRが今回、茅ヶ崎市での物流施設進出を決めた要因の一つは、最寄りのインターチェンジ(IC)を経由して、複数の高速道路ルートを活用できるためだ。大規模災害時の輸送ルート確保は、物流施設の立地を判断する根拠となっている。

ESRの茅ヶ崎DCは、敷地面積が3万3870平方メートル、延床面積は6万9315平方メートル。地上4階建てで2フロアずつのメゾネット仕様とし、倉庫としての多様な活用を可能に。最大6テナントが入居できるようにした。トラックは3階(メゾネットの上位フロア)にアクセスできる構造とし、2フロアで計62台分のトラックバースを整備した。汎用性の高さにこだわった構造としたことからも、EC事業者を含めた幅広い荷主企業の入居を想定していることが分かる。

ESRが茅ヶ崎DCの優位性を掲げるポイントが高速道路へのアクセスだ。茅ヶ崎DCから1キロメートル圏内にある首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の寒川南インターチェンジ(IC)を通して、圏央道や東名高速道路を経由して首都圏各地にアクセスできるほか、東名または新東名高速道路で東海圏や関西圏ともつながる。

しかしながら、茅ヶ崎DCの立地上の優位性は、単なる高速道路の使いやすさだけではない。本当の強みは、「3大都市圏へ複数の高速道路を活用できること」にある。

▲圏央道と近接し、広域高速道路網のハブ機能を担う(出所:ESR)

中日本高速道路(NEXCO中日本)は、新東名を2023年度に全線開通させる見通しだ。その結果、圏央道と結節する海老名南ジャンクション(JCT)から東海・関西方面への高速道路によるアクセス動脈が東名を含めた2本となり、災害時の輸送確保を含めた輸送網が格段に増強される。さらに、2025年に開通予定の圏央道・横浜環状南線(戸塚IC‐栄JCT-釜利谷JCT)により、横浜横須賀道路や首都高速道路湾岸線を経由して南関東エリアへのアクセスも飛躍的に向上する。

いわば、茅ヶ崎エリアは広域高速道路網の「ハブ」をなす場所なのだ。関東以西を意識した配送拠点としては、この上ない好立地であろう。

「物流は経営戦略そのもの」との認識が、国内の産業界にも広がってきた。物流施設の候補地選定こそ、まさに「経営戦略」そのものだ。今回の茅ヶ崎DC完成は、こうした色彩を色濃く示したものだ。(編集部・清水直樹)

ESR、茅ヶ崎に延床7万平米の新DC完成