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JFE、21万トンのLNG燃料ケープバルカー3隻導入へ

2021年7月20日 (火)

鉄鋼原料輸送用大型LNG燃料船イメージ図(出所:JFEスチール)

荷主JFEスチールは20日、鉄鋼原料輸送船として、液化天然ガス(LNG)を主燃料とする21万重量トンのケープサイズバルカー3隻を導入すると発表した。21万トン級の大型LNG燃料船の導入は、国内では初めて。合わせて、日本郵船・川崎汽船・商船三井の3社との長期輸送契約の締結も発表した。

同船は日本シップヤード(東京都千代田区)が開発・設計したもので、今後はジャパンマリンユナイテッド(横浜市西区)と今治造船(愛媛県今治市)が建造。2024年の初めより順次完成させ、JFEスチールの製鉄所向けに、海外から鉄鉱石および石炭を輸送する任務に就く。

同船は重油の代わりにLNG(液化天然ガス)を使用することで、排出する二酸化炭素を25%から30%、硫黄酸化物をほぼ100%、窒素酸化物を85%削減する。IMO(国際海事機関)の目標であるEEDI(エネルギー効率設計指標)ベースでは、二酸化炭素排出量を40%以上削減できる計算だ。風力を利用して船の推進力を補助する自動カイトシステム「Seawing」(シーウイング)の搭載も計画する。

そのほか、LNG燃料タンクとLNG燃料供給システムの装備と配置に十分配慮したことで、従来の同サイズのばら積み船に比べて追加装備があるにも関わらず、貨物ホールドの容積や積載可能数量を維持するという。

なお、日本郵船は同船が中国地方に寄港した際には、係留中または錨泊中にLNG燃料供給船が横付けしてLNG燃料を供給する「シップ・トゥ・シップ」方式で燃料補給を実施する考え。完成時までに供給体制を整えるとしている。

JFEスチールは、今後導入する鉄鋼原料輸送船についても、順次LNG燃料船に切り替え、長期的にはアンモニアやカーボンリサイクルメタンなどのゼロ・エミッション舶用燃料についても実用化に向けた検討を進める。JFEグループは5月に公表した「環境経営ビジョン2050」で、50年までのカーボンニュートラル実現を目標として掲げている。

■LNG燃料ケープサイズバルカーの概要
寸法:全長299.99メートル・幅50メートル・深さ25メートル・喫水18.4メートル
載貨重量:21万トン
総トン数:11万800トン