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新日本製薬が配送箱サイズを変更、物流費削減も狙う

2021年7月30日 (金)

環境・CSR健康食品や医薬品の通信販売事業などを展開する新日本製薬は30日、利用者向けの配送箱のリニューアルを発表した。素材をこれまでの再生紙から、より環境に配慮した「森林認証紙」に変更するとともに、積載効率の向上などを目的として箱サイズを見直した。今月から順次変更を進めているという。

(出所:新日本製薬)

今回のリニューアルでは、現在の発送の9割に使用している最小サイズの箱よりも、さらに小さなサイズを設定。同社の担当者は「従来の最小サイズで発送している注文の25%は、新たな最小サイズの箱に置き換えることが可能」としており、箱の製造に使用する紙の削減にもつながるほか、トラックなどへの積載効率が大きく向上すると考えられる。

また、箱のサイズの数も6種から4種に減らし、梱包作業のさらなる効率化を図る。デザインには、本社を置く福岡の「障害福祉サービス事業所JOY倶楽部」でアート制作を行う「アトリエブラヴォ」の作品を採用した。

同社は、顧客に商品を届けるための配送箱を年間に650万箱使用。これまでも再生紙の採用やサイズの見直しを行ってきたが、今回のリニューアルでは1箱あたり最大50%の紙を削減する。輸送時の車両からの二酸化炭素排出量の削減にもつながることから、「環境配慮」「梱包作業の効率化」「積載効率向上」と同社にとって「一石三鳥」の取り組みといえそうだ。

配送箱も企業価値向上のヒントに

メーカーにとって、配送箱は自社の一押し商品の質を落とさずに顧客に届けるツールだ。医薬品や健康食品など機能的な商品を扱う同社の場合はなおさらだ。しかし、配送箱に環境配慮素材を採用する一方で、資源の有効活用や輸送効率を高める要素を見出そうとしている同社の経営姿勢からは、こうした機械的なツールにも企業価値向上を実現するヒントが隠れている事実が隠れていると言えないだろうか。

「持続可能な社会」の実現に向けた活動や取り組みが、国内外のあらゆる産業で進められているが、この流れが鈍化することは当面の間考えられないだろう。物流に関係する事業者は今後も、配送箱に限らず、輸送手段の隅々にまで意識を研ぎ澄ます必要があるが、そのことはさらなるコスト削減を考えるチャンスになるのではないか。(編集部・行松孝純)